前章 復讐鬼
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く見ればあの日、聖を轢いたトラックの運転手もいる。警察もいるが‥‥‥なんか同情するような目で見てくる。どこの時点でいたかは分からないが、あの様子だと上林が自白した辺りからいたのだろう。
俺はガンスピンをしながら警察のところへ歩く。身構える警察。それをスルーして俺は事情を説明する。聖が殺されたこととその経緯。この運転手は何も悪くないこと。復讐のためにこいつらをボコボコにしたこと。上林は男として死んだから病院に連れて行ってほしいことなど。
全てを把握したのか、キリッとした顔になって確保を始めた。俺はそれを確認し、学校から立ち去る。
「さて、父さんと母さんになんて説明するかな‥‥‥」
そんなことをぼやきながら帰路につく。家についた俺は、父さんと母さんに全てを説明した。
始めは驚いた顔をしていたが、すぐに「よくやった」という顔をすると、父さんは新しいエアガンを、母さんは大好きな肉じゃがを作ってくれた。
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夜
俺はとある場所に向かう。それは、聖の墓である。長い階段を登って墓場に辿り着く。
「さて‥‥と、聖。見ててくれたのかな‥‥‥?俺、君の敵を取ることができたよ‥‥‥。あの世はどうだ?楽しいか?お父さんとお母さんは元気か?‥‥俺からは何も分からないけど、幸せに暮らしてくれよ‥‥‥?」
俺はランドセルに入れてあった小さな花束を墓に添える。花の名前は、赤いカーネーション。花言葉は、「あなたに会いたくてたまらない」だ。
「会いたくて仕方がない‥‥‥だが、死んだんだよな‥‥‥受け入れないと‥‥‥‥‥だよな」
ポタッポタッと涙が零れ落ちる。止まらない涙。復讐を終えて少し安堵したからなのか、涙は復讐の心を涙にして外に出す。やはり、聖の前では素に戻れるのかもしれない。それが、たとえ死んでいたとしても、だ。
(また、会えるよ)
「?!!聖か!?」
俺は後ろから聖の声がした気がして振り向く。しかし、そこには何もいない。俺はいないはずの聖を探す。
(だから、その時まで)
「どこだ!聖ぃ!!」
(その時まで、サヨナラだよ)
後ろから何かに抱きしめられた感触がする。忘れるはずがない。抱きしめようとすると恥ずかしがり、背中から抱きしめてきた最愛の女の子を。
「聖‥‥‥」
(元気でね)
その言葉を最後に、背中にあった感触はなくなった。俺は後ろを振り向く。そこには誰もいない。
だが、俺は天に昇っていく聖を見た気がした。
それは、幻覚。幻聴だったのかもしれない。
それでもいい。俺は今一度、最愛の人の名前を呼んだ。
「聖‥‥‥‥‥」
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