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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
前章 復讐鬼
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ら格好の的だ。

「‥‥‥‥‥‥‥まただ」

僕は上履きを手に取り、何が起きたかを把握した。

「どうしたの‥‥‥うわあ、これは酷いね‥‥」

僕の上履きの中敷きには、画鋲がたくさん入っていたのだ。幸い固定はされていないみたいなので全部取り出す。画鋲はランドセルの中に入れる。これで百本目とかだろうか。

しかしこれはまだ軽い方である。教室に入ると、まだ人はほとんどいない。イジメっ子たちも来ていないようだ。彼らが来るまでの間に僕は、今日は何がなくなったかを調べる。今日は国語の教科書と算数のドリルノートがなくなっていた。とりあえず探しに行く。場所は大方把握しているので問題はない。

僕は校庭を横切り、プールの近くに行く。排水管の近くに、破られた教科書とノートがあった。回収してその場を去る。

教室に戻ると、既にイジメっ子たちは登校していた。早速絡んでくる。

「よお緋鷹。お前、金は持ってきたんだろうな?」

こいつは上林 祐介。イジメっ子のリーダー格だ。

「五千円持ってきなさいって言ったよね?」

女子がさらに煽る。今喋ったのは中内 詩音。女子のリーダー格である。

その他モブがやんややんやと騒ぐ。

「持ってきてないよ。第一言ったじゃん。あげるお金はないって」

「は?逆らうのか?」

ボカッ!

殴打音が響き渡る。

上林が僕の顔を殴った音だ。

「てめえは俺たちの言うことを聞いてればいいの。お金がないなら親の財布から盗んでこいよ」

めちゃくちゃ反撃したいのだが、手を出したら負けだと思っているので黙っている。

「なんか答えろ!」

ドガッ!

今度は無理矢理立たせて腹に蹴りを入れる。鳩尾に入って蹲る。さらに頭を踏みつけてほざく。

「生意気なやつだ。特別にお仕置きが必要みたいだなあ。ああ?」

周りの子分たちも「そうだそうだ!」と調子に乗る。そこへ救いの手が。

キーーンコーーンカーーンコーーン

そう、授業開始のチャイムである。

「チッ。覚えとけよ?」

足をどかして立ち去る上林。僕は自分の体の状態を確認する。顔が腫れている‥‥が血は出ていない。あちこち汚れてはいるがまあ大丈夫だろう。僕は自分の席につき、授業の準備を始めるのだった‥‥‥。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

中休み。小学生にとっては至福の時間だろうが、僕は違う。校舎の裏(立入禁止)に連れ込まれ、チャイムがなるまでボコボコにされるのだ。これがなかなかキツい。プロレス技もかけてくるので僕は自分の腕や脚を折られないようにするのだ。相手も同じ小学生なので、手加減は一切ない。

無言で殴る、蹴る、技を極めるの連続である。同じく無言で耐えに耐え忍ぶ。


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