第三章
[8]前話
「これからも楽しくな、見栄えがよくて」
「人の役に立つ、観て楽しめるものをですね」
「作っていくな、これでわしが何故動いているかわかったか」
「よくな。そういえば私達は国生みのことばかり考えていてだ」
そうしてとだ、伊邪那岐はダイダラボッチに気付いた顔になって応えて話した。
「そうしてだ」
「わしみたいなことはか」
「気付きもしなかった、しかし」
「わしの行いを知ってわしと話してか」
「よくわかった、そうしたことも大事だな」
「わかってくれたら有り難い、ではな」
「これからもだな」
「わしは思うままにな」
「人が観て楽しめて役に立つものをだな」
「作っていこう、日本とそこに住む人間の為にな」
こう言ってだった、ダイダラボッチは今は伊邪那岐そして伊邪那美と別れ。
また新たな場所を作りに行った、二柱の神々はその巨人神を見送ってから二人で話した。
「ただ国生みを行うだけでは駄目だな」
「そうですね」
伊邪那美は伊邪那岐のその言葉に頷いた。
「それだけでは」
「国を飾ってな」
「そして人が観て楽しめて」
「役に立つ」
「そうしたものもないとな」
「本当に駄目ですね」
「そのことがよくわかった、ではこれからはな」
伊邪那岐は伊邪那美に強い声で言った。
「そうしたことも考えてな」
「国生みをしていきましょう」
「そうしていこう」
こう話してだった、二柱の神々は国生みを続けていった。
ダイダラボッチが作った山や池、湖は実に多くに渡る。その中には富士山や琵琶湖もある。そうしたものがそれぞれ日本のその地域中には日本自体を象徴する様なものになっていることはよく知られている。この巨人神の話が何時出て来たかわからない、だがこの神が関わったという逸話が日本全体に多いことはよく知られている。その中で伊邪那岐伊邪那美とこの神が合っていたことがあったという話はあまり知られていない。だがこの話も出来るだけ多くの人が知ってくれれば幸いである。
ダイダラボッチ 完
2019・6・2
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