第十九話「夜間奇襲」
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1941・9/12・2:30
「敵機来襲!」
タツミは伝声管から聞こえてきた怒声ともとれる声ではね起きた。時計を見ればまだ三時であり伝声管の声で艦が一気に慌ただしくなった。
「何処からだ!?」
「はっ!12時の方向からです!恐らく敵艦隊の空母からだと思われます!」
「夜間奇襲か。これはかなり痛いな。早く持ち場に付かせるんだ」
「はっ!」
タツミは艦橋に来るとそこにいた兵に命令し双眼鏡を覗き込む。陽はまだ上っておらず辛うじて明るくなって来たか?程度のものだった。そして正面から確かに闇に紛れる形で複数の敵機が向かってきているのが確認できた。
少しして前方の駆逐艦から対空砲火が行われる。しかし、夜間と言う事もあり当たっている様子はなかった。
比較的に近づいてくると一部の艦載機が降下を始める。その機の下部には細長い鉄上の物、魚雷が積まれていた。神星ルドワ帝国の雷撃機であった。
雷撃機の編隊は前にいた重巡洋艦に狙いを定めたようでフェイントをかけつつ向かって行く。それを落とそうと必死に対空砲火を行うも夜間と言う事で全く当たらなかった。
そしてついに雷撃機と魚雷が切り離された。飛ぶ力のない魚雷は重力に従い海中へと沈む。しかし、直ぐに魚雷は艦載機と同等の早さでもって重巡洋艦へと進んでいく。
重巡洋艦は必死に回避、魚雷の進路と平行になろうとするがそれは適わず重巡洋艦の左舷に水柱を生成していく。それは五本近く当たり重巡洋艦を火が包み込む。
「味方重巡洋艦大破!浸水も始まっている様で傾斜が止まりません!」
見張り員の言葉の通り重巡洋艦はこの僅かの時間に大きく傾いており回復は絶望的な状況にあった。退艦命令が出たのか飛び降りる様に乗員たちが海へと飛び込んでいく。
そんな中遂にタツミの乗るワイアルアにも爆撃機がやって来る。幸いなのは雷撃機がワイアルアに来ていない事か。
タツミは回避運動を命じつつ迎撃の指示を出すが無理だろうと心の中で思っていた。
「(夜間に加えて突然の奇襲。まだ対空砲員の中には自分の持ち場にすら到着していない者もいるだろう。そんな中で100%の力が発揮できるとは思えない)」
タツミの予想通り対空砲の砲火を避け爆撃機が急降下爆撃を仕掛けてくる。そしてある程度の距離を詰め一気に爆弾を落としてくる。その数は四。
一発目、軌道が逸れて左舷に落ちた。
二発目、対空砲が偶々当たり空中で爆発。当たっていなければそのまま右舷の対空砲を直撃していただろう。
三発目、海中に落ちたが艦すれすれであったため着水と同時に爆発。右舷の船尾に被害を与えた。
そして四発目、前方の主砲に直撃し主砲にいた兵と共に手法を吹き飛ばした。幸い誘爆の心配はないようで直ぐに消化が行われ始め
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