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ドリトル先生の林檎園
第三幕その九
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「僕にとって非常にいいね」
「物凄く変わったわよ」
「確かなお仕事にも就いてるしね」
「誰も来ない病院にずっといるよりもね」
「いい生活になってるわよ」
「僕達以外にもお友達が沢山出来たし」
「そうだね、だからこうしてね」
 今もというのでした。
「長野県でも楽しんでいるしね」
「こんなに変わるなんてね」
「先生の人生がね」
「何というか一変したわね」
「イギリスにいた時と比べたら」
「そうだね、本当に変わったから」
 それでという先生でした。
「僕も嬉しいよ」
「そうだよね」
「僕達も嬉しいよ」
「先生が幸せになって健康にもなったから」
「こんないいことはないわよ」
「何といってもね」
「そして後はね」
 皆はさらに言いました。
「結婚だね」
「先生にとって大事なのは」
「そのことだね」
「それがどうなるか」
「まああと少しだよ」
「先生のそのことも」
「だからいつも言うけれど」
 先生は猪のお肉を味噌漬けにして焼いたそのものを食べながらそうして皆に笑ってお話するのでした。
「僕は恋愛とは無縁だよ」
「だからいつもそう言うけれどね」
「先生は案外人気あるよ」
「女の人にもね」
「お友達じゃなくて」
「ちゃんとね」
「けれどもてたことはね」
 先生ご自身が思うにはです。
「生まれて一度もないよ」
「それも違うから」
「先生みたいな人は人気あるよ」
「性格がいいから」
「穏やかな性格だしね」
「紳士だし公平だし」
「こんないい人いないから」
 皆の方がずっとわかっています、先生がどんな人かです。
 ですがそれでもです、先生は言うのでした。
「太っていて顔も野暮ったくて運動神経ゼロでもかな」
「全然平気だよ」
「大丈夫だよ」
「そんな風でもね」
「何も問題ないよ」
「だから人は外見じゃないよ」
「心だから」
 だからというのです。
「というか外見先生より駄目で性格最悪でも結婚してる人いるよ」
「世の中には普通にね」
「そんな人もいるし」
「まあそんな人と結婚する人って同じレベルよね」
「たかが知れてるけれどね」
「類は友を呼ぶっていうし」
「そしてその論理なら」
 まさにというのです。
「先生はかなりいい人と出会えるね」
「というかもう出会ってるし」
「それならね」
「あと一息だから」
「本当にあと少しだよ」
「あと少しって全然だよ」
 先生だけが思っていることです。
「そんな人もいないよ」
「そう思っているうちは駄目だけれどね」
「先生はそこが駄目なんだよね」
「全く気付かないから」
「誰が何を言っても」
「それでもね」
「そう、僕達が頑張ればいいよ」
 皆は先生のあまりもの鈍感さにかえって団結しました。

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