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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
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Empty Dream―夢物語
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黒の瞳にはいっぱいに涙が溜まっていた。


「パパ……ママ……にぃ。全部、思い出したよ」





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ユリエールとシンカーにはひとまず先に脱出してもらい、今は安全地帯に4人だけという具合だ。


「ユイ、お前の正体は大方見当がついたが……どうする?」


「いえ……大丈夫です。私から、全て、説明します――キリトさん、アスナさん、そしてレイさん」


その丁寧なもの言いに2人が動揺したのがありありとわかった。


「《ソードアート・オンライン》という名のこの世界は、《カーディナル》というシステムに制御されています。人間のメンテナンスを必要としないこのシステムは、2つのコアプログラムが相互にエラー訂正を行い、無数の下位プログラムが世界の全てを調整します。――ただ、ひとつだけ、人間の手で解決しなければならない問題、精神由来の問題をAIによって解決するために、当代きっての神医、《水城雪螺》によって作られた。《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》、MHCP試作1号、コードネーム《Yui》それが私です」


「……ったく、あのババァ。仕事選べよ……」


「え……知り合い?」


「知り合いも何も、俺のお袋だ。義理だけど」


「……それでは、私が『にぃ』と呼ぶのもあながち間違いではなかったのですね……」


「そうだな……でだ、ユイ」


「はい?」


「このままだと、お前は《カーディナル》のエラー訂正により、消える。それで合ってる?」


「……!?にぃ、あなたは、いったい……?」


「自慢じゃねえが、プログラミングならあの『神医』とかアホくさい名前のやつより俺の方が上、てか、『試作1号』の基幹プログラム組んだの俺だし」


「はぁ!?」


キリトがすっとんきょうな声を上げるが、無視。唖然としてる女性2人も無視。


「というわけで、カーディナルからユイのコアプログラムを抜き出すのなんざ、昨日の朝御飯前だけど、どうする?」


「えっと……」


「よし、キリト。ユイのコアプログラムを簡易防壁で隔離するから、お前のナーヴギアのローカルメモリにでも入れとけ、俺はカーディナルに適当なエラーをぶちこみまくってプログラム走査を止めるから」


「お、おう?」


しどろもどろ言いながらユイの座っているシステムコンソールにアクセスするキリト。


「ユイ、お前は俺達の家族だ。遠慮なんかいらない。とっととこのゲームを終わらせたら向こうで展開するから……待ってな」


すると、ユイは目に涙を浮かべ、笑った―――


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