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渦巻く滄海 紅き空 【下】
三十 蛇VS狐
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その粉を吸い込んだ途端、大蛇丸の身体が強張った。








急に動かなくなった大蛇丸と八岐大蛇。
同じく、妙な粉のせいで動けなくなったナルの中で、九尾―『九喇嘛』は思わず寒気を覚えた。

嫌な予感が当たって、剣呑な紅い双眸を細め、チッ、と舌打ちする。

《アイツが────来た》

















「───まさか、ここで【八岐の術】を使うとはな」

巨大な樹木の上で八岐大蛇を俯瞰していた彼は、人知れず咲かせた花の上に腰掛けていた。
右近/左近・鬼童丸の遺体がある場所を痛ましげに一瞥する。

そうして、草薙の剣をなんとか押し止めようとしているナルを、彼は沈痛な面持ちで眺めた。


「それ以上はいけないよ、ナル」







巨大な蓮の花の上。
森ではなく、最初から己の術で周囲一帯を秘かに樹界に変えていた彼は、小さな九尾と化したナルを見下ろす。



蓮の花が咲き誇るその光景は、まるで極楽浄土のようだった。

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