三十 蛇VS狐
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や自我などない小さな九尾を前に、大蛇丸は口許に苦笑を湛えた。
「まったく、…この子は」
人柱力を聊か侮っていた大蛇丸は、九尾の人柱力であるナルの力の一端を目の当たりにして、その考えを改める。
そうして、既に己とナルの戦闘を邪魔しないように、少し離れた場所にいるカブトを視界の端で認めた。
右近/左近・鬼童丸の遺体のすぐ傍にいるカブトは大蛇丸と眼が合うと、加勢しようと身構える。
それを視線で制して、大蛇丸はナルと向き合った。
「小さな九尾さん…尾獣であるあなたを称して、私も切り札を出すとするわ」
近くにいると巻き込みかねない故、カブトにもっと離れるように目配せする。
大蛇丸が何をしようとしているのか思い当ったカブトが慌てて地面を蹴った。
(…今だ!)
大蛇丸が何かをしようとしている。
一刻も早く自分もこの場から逃げならないとはわかっていたが、その隙に、木分身体であるヤマトは右近/左近・鬼童丸の遺体へ駆け寄った。
心音・呼吸音の停止、脈を確認した木分身は唇を噛みしめる。
顔を顰めた木分身は、ふと、鬼童丸の指先に眼を留めた。
指先に結わえられている蜘蛛の糸。
怪訝な顔でその糸を外し、その先を視線で追うと、先ほど急いでこの場を離れたカブトの向かった先を示している。
「そうか…鬼童丸、お前…」
鬼童丸の最後の置き土産を察するも、大蛇丸とナルの対峙する場からただ事ではない雰囲気を感じ取って、木分身はハッと我に返った。
遺体を回収する間もない。
慌ててその場から飛びのき、できるだけ遠ざかる。
その背後で、大蛇丸の声が高らかに響いた。
「【八岐の術】!!」
刹那、凄まじい地鳴りと突風が巻き起こった。
木々が折れ、爆風と共に飛んでくる。
たくさんの障害物を見て、木分身は慌てて印を結んだ。
「【木遁・木錠壁】!!」
シェルタートンネルの如き木製の半ドームを形成し、身を守る。
大きな木の枝が何度も木錠壁を叩き、それらが止んだ頃には、木分身はナルの前に佇む巨大な生き物に愕然とした。
「な…なんだ、アレは」
猛烈な暴風が天地橋にまで飛んでくる。
枝どころか木の幹までもが飛んでくる異常事態に、ヤマトは顔を顰めた。
監視目的で向かわせた木分身。
連絡がまだ途絶えていないことから無事だとはわかる。
だが、ナルの九尾化を許してしまった最悪な緊急事態を、ヤマトもシカマルも理解していた。
崩れた橋を渡る際、ナルは【多重影分身】で自分の身体を、大蛇丸がいる方向へと投げ飛ばしてもらった。
その時の影分身達がいきなり苦しみ始め、「あつい…」と呻いたかと思えば
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