ポケモンカードGX
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たしの体が少し竦む。
確かに勝つことを考えれば一刻も早く攻めるべき場面。だけど、サフィールはバトルが始まってからこちらの行動に反応せずポケモンへの指示に徹していて。わたしが怪盗として向き合ってきたアローラの人やシャトレーヌとは違っていた。彼の声はさっきまで話していたときよりもずっと真剣で、必死で。
わたしを見ていない。だからついこの状況で言葉が出てしまった?
いや、今はバトルに集中しなきゃ。
「まさか、手持ちがわかって勝ちきれると思ってオレにハンデでも与えてるつもり・・・・・・?」
こうしてサフィールが返事をしているのは、今は攻め込むより『やどりぎのタネ』によるスリップダメージを与えた方が得だから。話したくて話してるんじゃない。そんな気持ちがひしひしと伝わってくる。
だからわたしは、とっさに否定する。
「違う、ちょっと気になっただけ! それにやどりぎのタネへの対策はある! グソクムシャ、『吸血』!」
「『リーフブレード』!」
グソクムシャの伸びた爪とジュカインの腕から鋭い蔓がぶつかる。だけど虫と草ならこちらの方が有利。
「『吸血』で与えたダメージの半分の体力を回復する! これでやどりぎのダメージは回復できる! さあ、続けていくわ!」
「単調だね、『こらえる』!」
続く攻撃を、サフィールはそう断じて技を命じる。どんな攻撃でも体力をほんの少し残す技だ。だけど、体力がわずかなら・・・・・・
「『アクアジェット』で止め!」
「『リーフストーム』ッ!」
「えっ・・・・・・!?」
相手の先を取る水の逆噴射より先に、木の実を咀嚼したジュカインが両手からとがった葉っぱを巻き込む嵐を起こしてグソクムシャを吹き飛ばした。
グソクムシャは自分からボールに戻る。
「・・・・・・お願いハッサム」
「さっきのお返しに教えてあげるよ。『イバンの実』を使ったポケモンは体力が少なくなったとき、一度だけ先制攻撃ができる。そしてジュカインの特性『新緑』は体力が少ないとき草タイプの技の威力をあげる」
その説明は、なんだかわたしやシャトレーヌと違ってテキストを棒読みしているような、普段なら言わないことを言っているように聞こえた。
「・・・・・・なるほどね。カードのポケモンは四つしか技を使えないっていうからそういう技の組み合わせは苦手なのかと思った」
「『日本晴れ』のことなら、見当違いだよ。だって、そんな技使わなくても草タイプで統一するもっと重要な意味があるからね! 見せてあげるよ、カードならではの力を!」
満身創痍のジュカイン、『バレットパンチ』の一発を撃ち込めば倒れるその体に、緑色のエネルギーが募っていく。
「GXスキル起動、解放条件は草タイプの技一回以上・・・・・
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