アインクラッド編
各々の道
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問にキリトは頷く。
基本的にフードケープの本来の使用目的は顔を隠すこと、これ一点に尽きる。
なので、コートや金属防具に比べれば、圧倒的に防御力が低い。
見た目のバランスの悪さなど気にせずに、フードケープの上にもう一枚、コートを重ね着したらいい、と思うが、残念なことに、この世界では装備できる服の枚数などに上限が設けられており、上着を2枚重ねることはシステム的に出来ない。
敏捷値にほぼ極振りのアスカとは違い、キリトは筋力値にもバランスよくステータスを割り振っているはずだ。ならば、十分な性能の防具を着ける余裕はあるはずなのだが、顔を隠すためにフードケープを被っているせいで、実質的な防具はアスカと同じような金属製の胸当てだけだ。
「――だから、攻略会議とかで多くのプレイヤーと近くにいる状況以外なら、マフラーとフード無しのコートでも上手くやれば・・・・って、コートなんか持ってないよな」
アスカは言いながら、自分の羽織っている茶色のコートを脱ごうとする。
が、キリトはそれを片手で制する。
「ううん、持ってるよ。・・・・・さっきのボス戦のラストアタックボーナスで手に入れたんだけどね」
キリトが立ち上がり、ウインドウを操作すると、羽織っていたフードケープが消滅し、代わりに黒・・・否、漆黒のコートが現れる。
アスカの茶色のコートのくたびれた生地とは違い、艶のある革製だ。
一目でレアアイテムであると判断できる存在感。
それはボスを倒した者に与えられる栄誉あるギフト。
だが、それを羽織ったキリトの表情は浮かない。当然だろう。
ボスを倒すために、あってはならない損害。プレイヤー、ディアベルの死があったのだから。
アスカはそのコートを見て、思わず口にしそうになる。キリトへの慰めの言葉を。
だが、意志力を全開にして、なんとか出てきかけた言葉を飲み込み、キリトが手に持つマフラー、〈ジェットブラックフロント〉を奪い、そのままキリトの首にぐるぐるに巻く。
首から口元まで隠すように巻かれたマフラー。
「これで、コートの中に髪を隠せば、近くから顔をのぞき込まれない限り大丈夫・・・・・なはずだ。フード被り続けるよりは楽だと思う」
最後にマフラーを背中で結び、固定する。
と、身長の差からアスカの顔の下にあるキリトの顔を見ると、なぜか少しだけ赤くなっている。視線もそっぽを向いている。
思わず疑問符を浮かべそうになるが、遅まきながら気づく。
アスカがキリトのマフラーを結ぶために両手を後ろに持って来ている体制。
端から見たら抱き合っているようにしか見えない。キリトは気づいていたのだろう。
アスカは慌てて手を離し、敏捷値全開でキリトから離れる。
単純に恥ずかしくなったのも理由の1つだが、この世界には【ハラスメントコード】なるものが存在
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