暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン アスカとキリカの物語
アインクラッド編
各々の道
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ら、黙り込んでいたが、アスカが突然口を開く。

「エギルさんとキバオウから伝言がある」
「ふうん・・・・何て?」
「エギルさんは『次のボス攻略も一緒にやろう』だってさ。キバオウは・・・・」

アスカは記憶にある関西弁を必死に思い出しながら続きを口にする。

「・・・今日は助けてもろたけど、ジブンのことはやっぱり認められへん。わいは、わいのやり方でクリアを目指す,だって」
「・・・・そう・・・・」

キリトは微笑みを浮かべながら、その言葉を何度も胸の内で反芻しているのだろう。
アスカと同じように。

「それと、これは俺からの伝言」

驚いたような顔をするキリトを無視して続ける。

「覚えてるか?最初に会ったときにアンタが俺に言ったこと」
「ええ・・・と、確か・・・」

首を捻りながら、記憶を遡っているようだが、思い出せないらしい。
呆れたように溜息をつきながら、アスカが言う。

「俺の戦い方に難癖付けた後、『そんな無茶な戦い方してたら死ぬよ』って言っただろ」
「難癖は言ってないと思うけど・・・」
「似たようなもんだっただろ。それでだ、俺にそんなこと言ったんだ。自分は無茶やって死ぬなんて許さないからな」
「・・・・うん、ありがとう」

アスカからの伝言が予想外だったのだろうか、キリトは目を見開いた後、笑顔で頷いて、続ける。

「流石にアスカ以上に無茶をする人はいないと思うよ。ダンジョンで1週間くらい籠もり続けるとかしないと」
「さっきまで散々無茶してたのは、そっちだろ」

その言葉に少しだけだが、キリトの表情が硬くなる。
さっきというのは、言うまでもなく自らを〈ビーター〉と名乗ったことだ。

「あんたが全部背負う必要があったのか・・・?」
「どうだろ・・・・・無かったのかもしれない。でも、あの状況でアルゴや他のテスターに敵意が向くのだけはどうしても避けたかったんだ。あのやり方以外、思いつかなくて・・・」
「不器用な奴だな・・・・ほんとうに」
「自分でもそう思う」


そこでお互い沈黙。
テラスを吹き抜ける冷たい風が頬を撫でる。
背負う必要なんてない、と言いたかった。たった1人が背負う罪科ではない、と。

だがキリトの行動は、キリト自身の安全を度外視すれば、確実な方法であったことも否定は出来ない。
現に、キバオウ達の憎しみはキリト1人に向けられ、アルゴも、他のテスターも非難される心配はないだろう。
それに、アスカが無茶を承知でダンジョンの奥深くに滞在し続けたように、性別を偽ってまで攻略に参加しているキリトにも譲れないもの、信念、矜持があるはずだ。
女とはいえ、他人の覚悟に口を挟むべきではない、とアスカは思っている。
だから、アスカが次に発した言葉は感謝の言葉だった
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ