アインクラッド編
各々の道
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「・・・背負いすぎだろ、1人で・・・・」
キリトが扉の奥に消えたボス部屋でアスカはぽつりと呟く。
分かっているのだ。キリトが他の元ベータテスターへと憎悪の矛先が向かわないように、ベータテスターを“情報を独占する卑劣なビーター”と“初心者上がりの単なるテスター”へと2分したことぐらい。
あのままでは、キリトのみならず、E隊やディアベルの隊のメンバーの糾弾は情報屋アルゴや、最悪、攻略に参加してないようなベータテスターにまで及んだだろう。
それを防ぐためにキリトは自分を圧倒的な悪者にすることになることを選んだ。
全ての憎悪の矛先が自分へと向かうために・・・・。
アスカの足は自然とボス部屋の奥、キリトが開けた扉へと向いていた。
このまま何も言わずに、はいさよなら、なんてこっちの気が済まないし、死ぬ覚悟なんて,とうの昔に出来ている。
扉へと歩を進めるアスカの背後から声が掛かる。声の主はエギル。
「あんた、今からアイツの所に行く気なんだろ。それなら、1つ伝言を頼まれてくれないか?」
「何だ?」
「『次のボス攻略も一緒にやろう』ってな」
「・・・・・分かった。伝えておく」
自分と同じく、キリトの意図をくんで、こうやって言葉を残してくれるエギル。自然と頬が緩む。
その時、予想外の人物から声を掛けられる。
「ワイからも伝言がある」
キリトを目の敵にしていたキバオウ。
思わず体に緊張が走る。
アスカが、「内容による」と言うと、キバオウが伝言を口にする。
「『今日は助けてもろたけど、ジブンのことはやっぱり認められへん。わいは、わいのやり方でクリアを目指す』・・・・それだけや」
伝言を言い終わった途端、そっぽを向くキバオウ。
アスカも、
「それなら・・・・伝えておく」
とだけ答えて、ボス部屋をあとにした。
ボス部屋の最奥にある扉をくぐり、狭い螺旋階段をしばらく上ると、再度目の前に扉が現れる。
そっと押し開けると、いきなりアスカの目の前に絶景が飛び込んでくる。
第1層は様々な地形フィールドが混ざっていたが、第2層はテーブル上の岩山が端から端まで連なっている。
岩肌から真っ直ぐ左に沿って伸びているテラスに先客が1人。
しばし、景色に見とれていたアスカはかすかな吐息を漏らした後、そっと先客の隣に座る。
「・・・・・来るなって、言ったのに」
「言ってない。死ぬ覚悟があるなら来い、って言ってただろ」
「・・・そうだったね、ゴメン」
首を縮めながら、先客――キリトはちらちとアスカの方を向く。
髪は外に出していて、風で長い黒髪がはためいている。
「綺麗だな・・・・」
「うん・・・・」
そのまま1分ほど、アスカとキリトは眼下の絶景を見なが
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