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ソードアートオンライン アスカとキリカの物語
アインクラッド編
ビーター
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線がキリトに集まる。
キリトは周りの視線を気にしてないかのように腰に手をやり、ふてぶてしい態度で続ける。

「いいか、よく思い出せよ。ソードアートオンラインのベータテストはとんでもない倍率の抽選だったんだ。通った1000人の内、本物のMMOゲーマーが何人いたと思う。殆どがレベリングのやり方も知らない初心者(ニュービー)だった。ほかのMMOで鍛えてきているあんたらのほうがまだマシさ」

キリトの元ベータテスターに対する侮蔑の言葉に、場の空気はボス前の張り詰めた空気が戻ってきたかのような冷たさとなる。
口元しか見えないが、明らかな冷笑を浮かべたキリトが、その先を口にする。

「――――でも俺はあんな奴らとは違う。
俺はベータテスト中に、他の誰も到達できなかった層まで登った。ボスの刀スキルを知ってたのは、ずっと上の層で刀を使うモンスターと散々戦ったからだ。他にも色々知ってるぜ、アルゴなんか問題にならないくらいな」
「・・・・・な、なんだよ、それ・・・・」

E隊の掠れ声のみが響く。
全員、唖然とした表情でキリトを見ている。
完全に状況が変ってしまっていた。
さきほどまでは、一部のプレイヤーを除けば、キリトの評価は

元ベータテスターで偶然ボスの使う刀スキルを知っていた男

といった感じだった。
あの状況で、キリトがアスカと共に勇猛果敢にボスに挑む姿を見て、キリトが真実を黙っていたと思っている者は少ない。
それに、全員が全員、アルゴの攻略本に書かれた情報が嘘っぱちだったなどとは思っていなかったはずだ。ボスの刀スキルの変更以外、これまで一度たりとも誤情報を載せることがなかったのだから、本当にベータテストの時から変更があったのだと判断する者もいたはずだ。

しかし、今キリトは自らの首を絞めている。劣悪な状況に追い込んでいる。

元ベータテスターの中で唯一圧倒的な情報量を持つ男。

ボスの刀スキルの変更も、たった1人、自分だけが気づけた、と言ったのだ。
全員の目に恐れ、畏怖、そして―――憎悪が宿るのに、そう時間は掛からなかった。

「そんなの・・・・ベータテスターどころじゃねえじゃんか・・・・もうチートだろ、チーターだろ、そんなの!!」

E隊の男の声の裏返った絶叫に、周囲からも、そうだ、チータだ、ベータのチーターだ、という声がいくつも湧き上がる。
そして、やがてそれらの言葉は混じり合い、〈ビーター〉という奇妙な響きの単語を生み出した。

「・・・・〈ビーター〉、いい呼び方だな、それ」

口元に笑みを浮かべたキリトが、全員の顔を見渡しながら、はっきりと告げる。

「そうだ、俺は〈ビーター〉だ。これからは、元テスターごときと一緒にしないでくれ」

一瞬だけだが、キリトの顔がアスカとエギルのほう
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