ターン18 もうひとりのエンターテイナー
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、今年はこの町でやるんだろう?鳥居から聞いてるとは思うが、ミーたちデュエンギルドはデュエルモンスターズと演劇のハイブリッドを売りにしてきた劇団。つまりミーも、こんなこと言うとなんだか自慢みたいがそれなりに腕に覚えはある。ぜひとも出場させてもらいたいと思ってね、主催者のデュエルポリス……つまりユーに直接掛け合うのが手っ取り早いと思ったのさ」
「はぁ!?」
唐突な出場申請。想定外の相手から飛び出す全く予想もしなかった方面に転がり始めた話にただでさえニコチン不足がたたり本調子でない糸巻の頭は、この短い間にまたしても意表を突かれたことで困惑の声を上げるのが精一杯だった。
そのタイミングでコーヒー片手に事態を静観していた鼓が、見ていられんとばかりに空になったカップをことりと置いて立ち上がる。
「少し、よろしいでしょうか」
鼓千輪は公私の区別を弁えた女である。この話題はデュエルポリス、つまり仕事の管轄だと判断し、口調も先ほどまでのプライベートなものから改まった形に代わっていた。そんな突然の横槍にもめげず、一本松がくるりと首を動かして先ほどと同じく大仰な一礼を繰り返す。
「おおうこれはこれは、負けず劣らずお美しいマドモアゼル。ええと、お名前は……?」
「申し遅れました、私もそこの彼女と同じデュエルポリス。フランス支部代表、鼓千輪と申します」
「おおう、なんとなんと。本物のフランス在住者でしたか。してお美しい方、あなたがなぜこの日本の地に?」
「今年のデュエルフェスティバル、運営としての仕事を命ぜられまして。そういうわけでそのお話、ここからは私がお預かりいたしましょう。参加希望、ということでしたが……失礼ですが、理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか」
物腰こそ丁寧だが、その言葉の端々からは有無を言わさぬ調子が漂う。あるいはその言葉は、半ば強引に話題を引き継いだ糸巻へ向けたものであったのかもしれない。いずれにせよ一本松はすぐに順応し、改めて鼓へと向き直った。
「いかにも。確かに劇団「デュエンギルド」は14年前、例の事件をきっかけとして自然消滅。ミー含め団員も散り散りとなり、鳥居のような例外を除き、ほぼ全員がデュエルモンスターズとは関わりを持たない日々を過ごしてきたと思いねえ。しかしその沈黙を破りミーがこうして参加を表明するに至ったのは、ちょいとした訳がある。そう、あれはある雨の日……」
「要件をお聴きしたいのですが」
「ノー、そりゃないぜ綺麗なお姉さん。せっかくミーの舌が絶好調で回り始めたって時に、お預けなんて。とはいえユーがそこまで聞きたいというのなら、もう少しかいつまんで話そうか。まずひとつが、鳥居が入院したって話を聞いて見舞いにでも、なんて思ったから」
そう言いつつ視線を外し、まるで何かを警戒して
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