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TARI TARI +TARA
飛び出したり 誘ったり 飛びかかったら その3
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と歩きはじめた。

(いやいやいやいや!! なんだ今の!?)

流石に見て見ぬ振りをしている訳にもいかなくなり、衛太郎は回れ右をして少年に駆け寄った。

「ちょ、ちょっと貴方……!」

「ん?」

振り返った彼は、いかにもきょとんとした表情を向けて来た。
こういう顔をする者に声をかけるのが、衛太郎には結構な苦手分野だったりする。

「ええと……。さ、さっきから、一体なにしてるんですか……?」

やっと出たその問いかけにも、少年はさっきと変わらないきょとんの顔で答えた。

「?ニッポンの進路占いです。道に迷った時には、こうやってーー」

そう説明しながらも、また少年は靴を脱ぎはじめる。さっきしたように片足を上げ、また上履きを飛ばした。
本日三度目の、上履き落下の光景は不思議なくらいシュールに見えた。
そして、柔らかい微笑みを向けてくる。

「ほら?」

「いや、『ほら』じゃなくて……」

爽やかオーラ全開でボケをかまされても、やはりツッコミはせざるを得ない。いや、この場合は天然ボケというべきだろうか。
確実に言えるのは、これは明らかに道標のための占いではない。

「……あの、どこに行きたいんですか?」

「職員室です。こっちにあるんですね」

そう言いながら上履きを回収した少年は、職員室とは真逆の方向を指差した。

「……こっちですよ。職員室」

「あれ?」

(『あれ?』でもねぇ……)

初対面に何度も連続でツッコむほどのメンタルを持ち合わせていない衛太郎が、胸中で盛大なため息をついたことは、きっと本人だけの秘密になるだろう。






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