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曇天に哭く修羅
第一部
殺意の壁
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「【音隼(おとはや)】は【魔晄(まこう)】を背部から放出して推進力を得る技術。これに限らず【練氣術】はイメージが大切だから気を付けるんだよ」


《黒鋼焔》は《永遠レイア》に実演を頼む。

先に焔が見せた見本の発展形をするらしい。

焔はリモコンでピラミッドの高さを下げた。

それをレイアが跳び越す。

すると焔が高さを上げる。

その繰り返しだ。

やがて人間では跳べない高さになるとレイアは音隼を使って飛び越えてきた。


「あんな風に何度も跳んで浮遊や飛行の感覚を掴んでもらうというわけさ」


焔はピラミッドの高さを最低にする。


「緊張しなくて良い。僕が思うに紫闇は音隼を修得する為に必要な条件を満たしてるから。遅くても一月あれば覚えられるよ」


レイアは紫闇の肩を叩いて緊張をほぐす。

彼の言葉を信じて技のイメージ。


(背中にブースター。そこから魔晄の噴射。それにより推進力を得て飛行)


ピラミッドに向かって跳んだ紫闇は何かが開き跳躍とは違う感覚を得た。


「……一発で修得するとは思わなかったよ」


焔はドキドキしてしまう。


「僕どころかエンドですら初見では音隼を使えなかったんだけどなぁ……」


レイアも驚いている。

しかし二度目は制御できず、道場の天井にぶつかりそうなところをレイアに助けられた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ところで紫闇は疲れてない?」

「大丈夫だよ」


紫闇は焔の問いに余裕を見せる。


「僕の知る限り紫闇は昔から普通の【魔術師】と比べて魔晄の総量が多いんだ。肉体はそれなりに出来てるから黒鋼流体術に適した作りに変えてしまおう。取り敢えずは『喰牙/くうが』を覚えてもらおうかな」


そう言うとレイアは受け手に回って焔と組手を行い紫闇に喰牙を見せることにした。

レイアが踏み込むと『ガッ』、『ベキリ』という音がしてレイアは地面に転がる。


「喰牙っていう強そうな名前だけど別に何も面白くない技だろう? 先ずはこれを」

「焔、紫闇の動体視力じゃ見えなかったみたいだ。紫闇、魔晄で身体能力を上げておいて。それなら何をやったのか解る筈だ」


紫闇は現時点で身体能力の最大強化をしても恐らくは通常の2倍程度だろう。

そもそも殆どの魔術師はそれに頼らず魔晄防壁の防御力に重点を置いている。

なので紫闇でも銃弾を弾く位は楽勝だ。

しかし回数を重ねる度に速度を落としてくれている組手を見てどういう技か理解した。


(相手の突きに合わせて相手の側面に回り込む。そして伸びきった相手の腕に自分の腕を絡める。次に肘の関節を極めることが出
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