第4楽章〜小波の王子と雪の音の歌姫〜
第37節「夕陽の中での再会」
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「間に合って良かったね」
買い出しを終え、両手にエコバッグを持って帰路を進む純。
その隣には未来が、レジ袋を両手に歩いていた。
「うん。帰ったら響に美味しいご飯、用意しておかなくちゃ」
「僕もしょ……親友が最近、頑張ってるみたいだから応援してあげないと」
「頑張ってるって、何かやってるの?」
「親戚の会社でインターンシップなんだって」
「へ〜、真面目なんだね」
そんな何気ない会話をしながら、公園に差し掛かる。
辺りはすっかり夕陽に包まれ、オレンジ色に染まっていた。
「はあ……はあ……確か、この辺りだって──」
「気をつけろ立花、先手を取られる可能性が──」
すると、目の前の角を曲がってくる2人の人影と目が合った。
未来と純は、走って来た響と翔に驚く。
「あ……響!それに……」
「翔!?」
「えっ、未来?……はっ!?」
「純!どうしてお前が小日向と……ッ!?」
「来やがったな!お前らまとめてあたしが──ッ!」
2組が互いを認識したのと、鎧の少女が響達を認識したのはほぼ同時だった。
「──くッ!未来、来ちゃダメだ!!」
「純、逃げろ!!」
牽制に振るわれた鞭が地面を抉り、その衝撃が未来と純を吹き飛ばす。
「え──、きゃああああああッ!?」
「な──、うわああああああッ!?」
「ッ!?しまった!あいつらの他にもいたのか!?」
宙を舞う2人。翔は咄嗟に飛び出すと、心の歌を口ずさんだ。
「──Toryufrce Ikuyumiya haiya torn──」
思いっきり跳躍すると、吹き飛ばされた2人を小脇に抱えて着地する。
「純!小日向!……無事か?」
「……え?風鳴くん?」
「翔!?その姿は……って、上!!」
純に言われて見上げると、先程の衝撃で飛ばされた自動車が、こちらへと落下してくるところだった。
受け止めようにも両手は塞がっており、バックステップしても地面に衝突した際の飛来物には対処出来ない!
万事休すか!?……いや、まだだ!まだ彼女がいる!
「─Balwisyall nescell gungnir tron──」
「てりゃぁぁぁぁぁッ!!」
次の瞬間、目の前に躍り出たオレンジ色の影が、落下してきた自動車を思いっきり殴りつける。
既に廃棄寸前までボロボロになっていた自動車は、一瞬にして廃棄確定レベルでひしゃげ、離れた場所を転がった。
「あ……」
「え……?」
驚く2人を振り返り、俺は頭を下げる。
「黙ってた事は謝る。でも、これが俺達の仕事なんだ」
「ひ、響……?」
「……ごめんッ!」
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