暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第13節「強襲-アサルティング-」
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上がった。
「あれだけ勢いよく転がったのに、擦り傷ひとつ付いてない……。どうやらしっかり展開されてるみたいだな」
 RN式の効果が発揮されている事を確認しながら起き上がり、再び走り出す。
 しかし、効果の実感は無傷の身体だけではなかった。起動してからまだ30秒と経っていないが、少しだけ身体が怠い。
 RN式のデメリットで、精神力が少しずつ削られて来ているのを表す疲労感だ。
 急がなくては。このままでは、肉体的疲労よりも先に精神的疲労で体力を削られ、無防備な状態で倒れる事になる。
 合流地点まではまだ半分。心を強く持って走り続ければ、何とか間に合う!
 そう自分に言い聞かせながら走り続ける。が、やはり邪魔者は現れた。

キュピキュピッ!キュピッ!

「ノイズ……邪魔だァァァァァ!!」
 速度を落とすこと無く、むしろより一層加速しつつ、握った拳を勢いに乗せて思いっきりヒューマノイドノイズの顔面部分へと繰り出す。
 殴られたノイズはきりもみ回転しながら吹っ飛び、地面を転がって行った。
 なるほど。確かに殴っても何ともないし、流石にワンパンで倒せたりまではしないが、こちらの攻撃が効いている。
 この調子で進み続ければ、何とかなる!

 ……と、そう思っていたのだが。現実は非情だった。
 そのままノイズを退けながら走る。飛びかかってきたクロールノイズを躱し、サッカーボールのように蹴り飛ばした直後だった。
「うっ……か、身体が……重い……」
 RN式を起動して、僅か3分足らず。足を進める度に、どんどん身体が重くなっていった。
 小刻みに息が途切れる。肺が悲鳴を上げ、心臓が破裂しそうなくらいバクバクと鳴っている。
 持久走には自信があるのに、体力は自分の予想よりも早く削られていた。正直言って、もう立っているのがやっとだ。
「まだ……まだ、だ……俺は、行かな……きゃ……」
 ゆっくり、よろよろと足を進める。しかし次の瞬間、全身から力が抜ける感覚があった。
 糸の切れたマリオネットのように、その場に崩れ落ちる。
 なんとか身体を仰向けにすると、どんよりと曇り始めた空が見えた。
 両手を見て、両足を見る。虹色の膜は、もう消えていた。俺を守る光の鎧は、既に力を失っていたのだ。
 ああ、とても耳障りな鳴き声が聞こえる。声の方向を見れば、先程のノイズ達が集合し、全長5mほどの巨大な個体、強襲型(ギガノイズ)へと融合していた。
 芋虫のような外見のそれは、動けなくなった俺の方へ向かいゆっくりと迫って来る。

「ここまで……なのか……?」
 悲鳴を上げる力すら残っていない事を自覚した瞬間、目の前を様々な光景が駆け巡る。
 小さい頃、ラジカセとマイクで姉さんの歌を聴いた夜の事。今でも若いけど、もう少し若かった頃の緒川さんを
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