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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
王様の頼み事その二
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の予想とは違ってるぜ」
 私は慌ててユウリの方に視線を変える。てっきりロマリア王のような、いかにもって感じの王様姿を想像していたのだけれど、全く違っていた。
 それは王様というより、王子様といった方が正しいかもしれない。
 落ち着いたブルーのベストには、繊細で美しい模様の刺繍が適度に縫い付けられており、マントにもけして派手すぎない程度に装飾が施されている。その色合いが黒髪のユウリに非常に良く合っており、精悍な顔立ちもあいまって、まるで本物の貴族のような気品さを漂わせている。
 もちろん頭には先日盗賊から取り返した金の冠が載っている。盗賊から取り返したばかりなのに外に出して良いんだろうか?
 後ろの女性たちは、ユウリの王様……もとい王子様姿に心を奪われたのだろうか、よく見ると皆うっとりとした目で彼を見つめているのがわかる。
 その見つめられている当人は、彼女たちに別段愛想を振りまくこともなく、いつもの無表情で街中を悠然と歩いている。おそらくそのクールな姿が余計女性たちの心をひきつけているのだろう。
「うーん、なんか変な感じ」
 私は複雑な表情でそれを見ていた。あの冷視線と威圧的な態度が、服装を変えるだけであんなに女性に好かれてしまうのだろうか? 彼の性格を知っている私には全く理解できなかった。
「いつものユウリちゃんじゃないみたーい。なんかつまんなーい」
 どうやらシーラも不評のようだ。
「オレにとっちゃ、どんな姿でもむかつく奴に変わりはないけどな」
 予想通りの答えを出すのはもちろんナギだ。
「なあ、あいつの化けの皮はがしてやろうぜ」
 ナギの思いがけない提案に、私とシーラは目を見開いた。
「ちょ、ちょっとナギ、仮にもユウリは今王様なんだよ? へんな事したらロマリア王様にも迷惑がかかっちゃうよ!」
「大丈夫。迷惑かからない程度にするからさ」
 そういうと、ナギは行き先も告げずにその場から走り去った。
「一体どこに言ったんだろ、ナギ……」
 私が心配そうに言うと、シーラは目をキラキラと輝かせて、
「面白そ〜♪ ミオちん、とりあえずユウリちんの後を追っかけて見ようよvvv」
 と、心底楽しそうに笑みを浮かべた。
 ――なんかこの二人って、似ているのかもしれない。
そう思いつつ好奇心が勝った私は、結局二人の後を追うことにした。


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