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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
王様の頼み事その二
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王は世界を征服するために魔物を呼び寄せ、力をさらに強めているだろう。ぐずぐずしていると、取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。
 一刻も早く魔王を倒すか、魔王に脅かされた町を救いながら向かうか。
 ユウリは、どちらを選択するんだろう。
 どちらにしても、おそらく私たちの意見は聞き入れることなく自分で決断するんだろうけど。



 朝食を済ませ、私たちは外に出た。なぜ外に出たかと言うと、ユウリの王様姿を一目見るためだ。うん、文字通り、本当に一目だけだけどね。変に関わったら余計なこと言われそうだし。
 ナギ曰く、偶然にも今朝宿屋のすぐ近くにユウリが来たらしく、その際起こった黄色い歓声がナギの寝ている部屋まで届き、そのせいで彼は起こされたという。
「ったく、王様になっても迷惑な奴だな」
 朝の件を思い出したのか、不愉快そうに人々の行き交う街角を眺めるナギ。その目の下には若干クマが見えている。
「でもユウリの王様姿ってどんなんだろうね?」
 私は半ばわくわくしながら皆に尋ねた。
「あー……。そういえば思い出したくないの思い出しちまった」
「何?」
「ほら、シャンパーニの塔でオレ、変な夢見たって言ったじゃん? あれ、あいつの王様姿が出てきたんだよ」
「ええっっ!?」
「ひょっとして、ヒゲとかつけてた?」
 シーラの言葉に、私とナギは思わず吹き出した。
「いやいや、王冠と王様っぽい服着ただけだけど。なんかすげーえらそうでむかついた」
「でもすごいね!! それって予知夢じゃん!!」
 予知夢ときいて私とシーラははしゃいだが、どうもナギはユウリの夢を見てしまったことが気に入らないようだ。これ以上思い出したくないのか、それきり会話が止まる。
「おいストップ! 噂をすれば何とやらだぜ」
 街の大通りの向こうからやってくる人影を見て、ナギは私たちに言った。
 私も大通りに目をやる。人影はやはり見知った人物のようだ。私たちは、予想通りの人物が近くまでやってくるのを静かに見守ることにした。
 するとナギがはっと思いつき、私たちに小声で耳打ちした。
「とりあえず、奴に気づかれないようにこっそりと覗いてみようぜ。王様姿のあいつが一般人にどういう態度を取るのか、興味あるだろ?」
 なるほど、それは一理あるかも。私とシーラは快く頷いた。
 私たちは急いで近くの店の壁へと向かい、ユウリの死角となる場所に寄り集まってしゃがみこんだ。
「そろそろか。……ん、ちょっと待て、あいつの後ろに何かいる」
 ナギの視線の先を追うと、ユウリらしき人物の後ろに、十数人程の人の固まりが見える。それは近づくうちに明らかになり、やがてそれが全員女性だと言うことに気づく。
「何あれ、何の集団?」
「オレに聞くなよ。それより、あいつの姿、オレたち
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