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レーヴァティン
第百二十八話 博多からその四

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「そうだがな」
「日本にいますと」
「ホッキョクグマは動物園で見られるが」
「他の場所では」
「見られる筈がない」
 生息地域が日本には存在しないからだ、ホッキョクグマはその名前の通り北極に生息している熊なのだ。
「そして食うこともな」
「ないですね」
「まずな」
「そうですね」
「だからその肝臓もな」
 それもというのだ。
「食うことはな」
「ないですね」
「そうだがな」
 それでもというのだ。
「あれは食ってはならない」
「そう言われていますか」
「何でもビタミンAが多過ぎてだ」
 その為である、このことはホッキョクグマの身体の構造からしっかりとわかっている。そうしたものである。
「煮ても焼いてもだ」
「食べられないですか」
「若し食うとだ」
 無理にそうすればというと。
「刺激が強過ぎてな」
「身体に毒ですか」
「下手をすれば死ぬらしい」
「そうしたものですか」
「只でさえホッキョクグマの肉には寄生虫がいてだ」
 これはセイウチも同じだという。
「生で食べてはならないが」
「肝臓は、ですね」
「特にな」
 とりわけというのだ。
「注意が必要とのことだ」
「つまり食べてはいけない」
「そういうものらしい」
「肝臓も動物の種類による」
「そうなるな、河豚もな」
 今食べているこの魚もというのだ。
「本来はな」
「毒ですね」
「そうだな、だがこの世界ではな」
「こうしてですね」
「食える、このことは有り難い」
「では」
「食っていく」
 こう言って英雄はその河豚の肝を鍋の中に入れた、それはかなり大きいものであったが鍋の中に入れて。
 煮込んでいった、その煮える様子を見つつ英雄は河豚の他の部分を食べていった。そうして食べながらだった。
 酒も飲む、すると智が言った。
「こうして酒も飲むと」
「尚更だな」
「いいでござるな」
「ああ、鍋に酒はな」
「最高の組み合わせでござる」
「そのうちの一つだ」
「全くでござる、拙者この世界に来て」 
 智はその酒を飲みつつ英雄に話した。
「随分と飲む様になったでござる」
「起きた世界ではか」
「あまり飲まない、飲んでも」
 それでもというのだ。
「ビールが多かったでござる」
「そうだったか」
「それがでござる」
 今はというと。
「こうしてこの世界で飲み」
「起きた世界でもだな」
「飲んでいるでござる」
 そこでもというのだ。
「日本酒を」
「そうなったか」
「この世界で飲んで美味しさに気付いたでござる」
 日本酒のそれにだ。
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