第十話「第二巡洋艦隊」
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統合歴1941・8/4・12:00
「エンジン始動!」
「エンジン始動。稼働率10パーセント」
「各部異常なし」
軽巡洋艦カイルアは現在真珠湾の港にて出港準備を行っていた。理由はカイルアが所属する事に第二巡洋艦隊に合流するためである。現在第二巡洋艦隊はシーレーン防衛の任についておりそこで合流する事となる。それまでは同じく第二巡洋艦隊に所属する予定の駆逐艦アーノルドと一緒に航行する予定である。
「…艦長、駆逐艦アーノルドの準備が完了したとの通信が入りました」
「艦長、エンジンの稼働率60を超えました。何時でも出航できます」
「分かった。軽巡洋艦カイルア出航!」
タツミは自ら動かす事となる軽巡洋艦カイルアの出向を高らかに宣言する。ゆっくりと動き出す軍艦に港にいた人々が手を振って来る。残念ながら艦橋からその姿を確認する事は出来なかったが外にいた海兵たちは手の空いている者に限るも手を振り返していく。
カイルアと駆逐艦アーノルドはカイルアを先頭に一列で海を突き進んでいく。やがて湾外へと出た事により波が高くなり軍艦を大きく揺らすが二隻の新造艦はそんな波をものともせずに進んでいく。
この二隻だけの航海は特に何の障害もなく終えた。航行から半日もせずに合流地点に到着し第二巡洋艦隊の指揮下へと入っていった。
「これらが第二巡洋艦隊…」
「別名【平均年齢二十三歳の新設艦隊】です。カメハメハ作戦でベテラン勢をほぼ失いましたからね。自然と若者が昇進しやすくなっていると言う事でしょう」
タツミの呟きに副艦長のジョージは返す。半日近くを共に航海した駆逐艦アーノルドの艦長ですらタツミより二つ年上程度だったのだ。この艦隊の艦長も同じなのだろうと考える。因みに駆逐艦アーノルドの艦長は気さくで話しやすい性格であった。
「艦長、どうやらお迎えが来るようです。直ぐに下に降りてください」
「分かった」
ジョージにそう言われて遠くを見ればうっすらと旗艦から小型艇がこちらに向かってくるのが見える。タツミは艦橋を離れ下へと降りていく。
「ナカハラ・タツミ大尉ですね。第二巡洋艦隊司令の元に案内します」
小型艇で向かってきた兵はそういって敬礼する。タツミも敬礼を返し小型艇に乗り込む。タツミが乗り込んだのを確認した小型艇はエンジン音をふかしながら旗艦の元へと運んでいく。
第二巡洋艦隊の旗艦である重巡洋艦カフルイは第二巡洋艦隊唯一の重巡洋艦でありイハワ王国の最新鋭の新造艦であった。とは言え海軍大国の葦原中国や神聖ルドワ帝国から見れば中古品程度の実力しか持っていなかった。
それでも、この同型艦は既に三隻が竣工しており数をそろえたいイハワ王国の上層部からすれば中古品程度の性能でも構わな
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