episode10『鬼の居ぬ間に』
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かせて聞いてくださいね」と念を押してシンに確認を取る。こくりと頷いた彼の態度に、ようやく、サトリはゆっくりと口を割った。
「――君は、今もまだこの物質界に留まれているのが不思議なほどに、繋がりが薄くなっています。どうにかしなければ……長くとも、この世に留まれるのはあと一週間が限界、と言ったところでしょうか」
「……!」
それは、実質的な余命宣告に等しかった。
たった一週間、たった七日間、それだけの期間でこの鬼の姿をどうにかしなければ――少なくとも、ただのOWとして実害を与えない領域にまで落とし込まなければ、シンに未来はない。
待っているのは死、という訳ではないのかもしれない。だがそこに居るのはシンではなく、別の生き物。人間にとって重大な被害を齎しかねない、完全な怪物に成り果てる。
人間性の残留など、とても期待は出来ない。
「……そう、ですか」
「酷なことを言って、ごめんなさい……でも!まだ絶対そうなると決まった訳じゃありませんから!現実的なラインだと、それまでにパートナーを見つけて契約を済ませれば、十分に助かる可能性はあります!」
“安心してください、とは言えませんが……”と頬を掻いて付け足すサトリに、シンは思わず頬を緩める。今日初めて出会ったばかりの子供にこうも親身になってくれるなんて、優しい人だなと感じた。
そんなシンの表情ですこしは元気を出してもらえたと思ったのか、彼女はほっと安心したように息を吐く。“ありがとうございます、悟さん”というシンの例に、少し照れたように彼女はぱたぱたと手で顔を煽ろうとして――
続くシンの言葉に、硬直した。
「――じゃあ早いうちに、皆にお別れを言わなきゃいけませんね」
「……え?」
一瞬、言っている意味が理解できなかった。
絶対に生き残ると、死に物狂いになるならば分かる。精神に余裕がなくなっても生き残ろうともがき足掻いて、焦りを抱きながらもどうにか走るというのならばそれがいいだろう。
これまでの経験を鑑みて、諦めるのなら分かる。絶対に無理だという意識が強く張り付いて、かすかな希望を追うことに疲れてしまっているのだ、というのならば仕方のない事だ。もっとも、そうだとしてもサトリは諦めさせるつもりはないが。
だが、彼は。
そもそも自分から、命を捨てようとするかのような。
「……なんで、ですか?まだ、諦めるには……」
「もしも間に合わないと、周りに危険が及びかねないんですよね?だったら、早いうちに誰にも迷惑が掛からないところに行って、せめて誰かに害を与える前に殺してもらったほうが良いですから」
にこやかな笑顔だった。たまたま出会った友人と路上で世
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