暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epica58いざ挑まん。最強の堕天使〜Day Before A War〜
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ソファから立ち上がったシャマルに、右手の平を差し出す。今は透けてはいないが、時折体の一部が霧散しそうになることが何度かあった。本当に限界が近い。

「でも・・・だけど!」

「・・・フォルセティ。お父さんはこの闘いで、もしかするとこの家に帰って来られない体になるかも知れない。だからこそ、お前にはお願いしたい。はやてを、お母さんを支え、守ってあげてくれ。父さんとの約束だ」

「っ! う、うん!」

俺が帰って来られないかも、という言葉に目を見開いてショックを受けていたフォルセティだったが、俺が差し出した小指に自分の小指を絡めてゆびきりを交わした。

「でも! お父さん、それにアイリお姉ちゃんにはやっぱり帰ってきてほしい・・・!」

「大丈夫! アイリがルシルをちゃんと守るから! 2人で帰ってくるよ。そして、ただいま、って言うからね」

「アイリお姉ちゃん・・・」

フォルセティを抱き締めるアイリと、それを見守る俺を見るシャマルが「約束よ? ちゃんと帰ってきて。このままお別れなんて、私が許さないわ」涙を浮かべて、そう脅し・・・じゃないな、願いを口にした。

「俺も、はやてとこのまま顔を合わせずに全てを忘れるなんて嫌だからな。何とかして記憶をそのままに帰ってくるよ。・・・じゃあ行ってくる」

「いってきま〜す!」

車椅子に乗リ移り、アイリが押して俺たちは家の外へと出る。あとはリアンシェルトから送られてきた手紙に記されていた指定された戦場へと転移するだけだ。

「ルシル君! せめて通信、メールでもいいから、はやてちゃん達に何か言ってあげて・・・!」

「勝って帰ってくるつもりなんだ。余計なことを言って不安にさせる必要は無いだろ?」

「そうそう! 大丈夫だって、シャマル♪ ルシルとアイリは必ず帰ってくるんだから」

アイリがリアンシェルトの手紙と一緒に送られてきた転送カードの準備を終え、「フォルセティ、シャマル。いってきます!」可愛く敬礼。続けて俺も「いってきます!」手を振った。

「お父さん! アイリお姉ちゃん!」

「ルシル君、アイリ!」

不安いっぱいの表情で俺たちを見送るシャマルとフォルセティ。記憶を失うかもという覚悟はした。そして記憶を失わず、勝って帰ってくるという決意も出来た。さぁ行こう。リアンシェルトの待つベルカへ。

(はやて。いってきます)

光に飲まれ、俺とアイリはミッドからベルカへと転移した。

「ようこそ、神器王ルシリオン。その融合騎アイリ」

辺りを見回していた俺とアイリの名を呼んだ声の主へと向き直る。

「「リアンシェルト・・・!」」

そこには氷で出来たロッキングチェアに座ったリアンシェルト。さらにあの子の側に控えている「ミミル・・・!?」
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