暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン17 錬金武者対赤髪の夜叉
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しょっちゅうファンを勘違いさせる言動を繰り返してな。人の趣味をとやかく言う気はないが、おかげでよくつるんでいた私までそちらの趣味があるんだとまことしやかに噂となり、あの時はどれだけ迷惑したことか」
「へぇ……」

 その実感のこもった言葉にギギギっと首を曲げ、隣の赤髪にそれまで彼女が見たことがないほどに据わった視線を注ぐ少女。そしてどこか空恐ろしいものを感じながらも気づかぬふりでさりげなく視線を外し、なるべく遠くの皿に手を伸ばす糸巻。そんな2人の様子を眺め、呆れたように鼓が手の中のマカロンを口に放り込んだ。

「もう10年以上経って少しは落ち着いたかとも思ったが、期待するだけ無駄だったようだな」
「お前が誤解されるようなこと抜かすからだろうが!」
「そんなもの、私が当時受けた扱いに比べればなんてこともないだろう。ちなみにだが、私は今でも根に持っているぞ?お前が爆笑しながら見せてきた、レズビアンデュエリストの双極などというゴシップ記事。あれが作られたのも、お前のファンから剃刀の刃を贈られたのも、ついでに私が二日酔いで苦しんだのも。元はと言えば、お前が私を誘って毎晩のように飲み歩いてたからだろうが。男だろうと女だろうと、他にも飲み仲間なんていくらでもいたはずだが」
「それはしゃーない。お前が一番、一緒に酒飲んでてアタシが面白かったからな」
「……ふむ。わかるだろう、八卦ちゃん?これで無自覚だ、こいつはこういう女だ。あまり入れ込まないうちに、早々に諦めた方が身のためだぞ」

 色々と諦めたような視線に対し、少女もなんとも言えない顔でこくこくと小さく頷く。もっともその表情を見れば、恋に恋する少女の気持ちがいまだ変わっていないことは容易に読み取れたのだが。
 だが、今度それで済まなかったのは糸巻の方だった。

「お前なあ、黙って聞いてやりゃ言いたい放題言いやがって。喧嘩売ってんならアタシはいつでも買うぞ、コラ」
「ほう?そこまで大口叩くからには、当然腕は落ちていないんだろうな。先の一戦なんて、あんなものウォーミングアップとしても認められんぞ」

 冷笑と共に返される、売り言葉に買い言葉。わずかな睨みあいの末に2人のデュエリストが席を立ちあがりデュエルディスクを手にしたのは、まるで鏡に映したかのように全く同じタイミングだった。

「え、えっと、あの」
「そゆことするなら外行ってくんないかなあ……ほれ八卦ちゃん、ちょっと下がってようか」

 立ち昇る闘気を察知してか、ふらりとエプロン姿の清明が厨房から帰ってきてわたわたと戸惑う少女を後ろに下がらせる。そのまま2人の間にある甘味いっぱいの机をどかしたそのタイミングで、2人の声が店内に響いた。

「「デュエル!」」

「よし糸巻、先攻はくれてやろう」
「いい度胸だ、なら貰っ
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