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余所者
第三章

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「外交や軍事はどうだ」
「政治の他の部分は」
「そうしたところはというのですか」
「妻は朕が出来ることはだ」
 その財政や内政、文化のことはというのだ。
「全部出来て外交も軍事もだ」
「出来る」
「そうした方であられうのは事実ですが」
「それで、ですか」
「今言う、しかも妻はだ」
 さらに言うのだった。
「司法や教育も見ているのだ」
「では、ですか」
「政治はテレジア大公様ですか」
「あの方ですか」
「そうだ、オーストリア大公である妻がだ」
 つまり実質的にオーストリアの主である彼女がというのだ。
「政治の全般を行いそれがオーストリアにとってもいいのだ」
「我が国ににとって」
「そう言われますか」
「今言った通り朕はそうしたことしか出来ない」
 財政や内政、文化のことしかというのだ。
「そして父親であることしかな」
「はい、十六人のお子様達の」
「大公様との間にもうけられた」
「あの方々のですね」
「子供は誰もが可愛い」
 皇帝は笑って話した。
「との子もな」
「ヨーゼフ様もそうで」
「マリア=アンナ様もですね」
「どの方もですね」
「そうだ、どの子も朕の可愛い息子で娘だ」
 その十六人の子全てがというのだ。
「だから彼等の父親である」
「それは素晴らしいことです」
「まさにそれが陛下のご人徳です」
「我等はそうしたことも見ていますし」
「陛下に今こうしてお話させて頂いています」
 親しい側近達もっと言えば友人達としてというのだ。
「この様にです」
「そうさせて頂いています」
「陛下の美点は多いです」
「決して卑下されることはないです」
「いやいや、卑下ではない」
 皇帝は周りの者達の慰めは否定した。
「これは事実だ」
「事実ですか」
「ハプスブルク家では余所者である」
「そのことはですか」
「そうだ、そして私が政治で出来ることがか切られていることもな」
 このこともというのだ。
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