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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十九 怒りの引き金
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「でもまぁ…」

大蛇の猛攻を無事防ぎ、【羅生門】を前にして一息ついていた左近は、背後からの声に総毛だった。


「背後ががら空きよ」



ドスッ!!


刹那、左近の身体には剣が突き刺さっていた。


























「う…」

微かな呻き声に逸早く気づいたシカマルは、ナルの顔を覗き込んだ。

「ナル…!しっかりしろ!!」
「しか…まる…?」

ぼんやりと瞼を押し上げた彼女の瞳の青が見えて、シカマルは胸を撫で下ろす。
「全く心配かけやがって」と照れくささを誤魔化すようにそっぽを向くシカマルに苦笑して、ヤマトもナルに声をかけた。


「大丈夫かい?」
「お、おう…って、一体何がどうなってるんだってばよ?」

不思議そうにキョロキョロと辺りを見渡したナルは、右近に衝突されてからの記憶がない。
だが、何故右近が自分に吹っ飛んできたのか、原因を思い出して、ナルはハッとした。

「鬼童丸が、大蛇丸と…!!」


ナルが最後に見た光景は、大蛇の上に乗る大蛇丸と対峙する、大蜘蛛に乗った鬼童丸の姿。
そこでようやく右近/左近と鬼童丸の姿がこの場にない事実に気づいたナルは、シカマルとヤマトに交互に視線を投げた。

「鬼童丸は…!?左近と右近はどこに…!!」

焦るナルから顔を逸らしたシカマルの代わりに、ヤマトが答えた。

「橋の向こう側だよ────大蛇丸と一緒にね」

ヤマトの答えに息を呑んだナルが何をしようとしているのか即座に察して、シカマルが「お前、今、起きたばっかだろうが!!」と彼女の腕をつかもうとした。

シカマルも、ナルが意識を取り戻したら、鬼童丸・左近/右近の加勢に向かうつもりだった。
だが、単独で動こうとするナルの行動は許せなかった。

なにしろ、寸前まで気絶していた身なのだ。
いきなり動こうとするナルを止めようとしたシカマルだが、それより早く。


「【多重影分身の術】!!」

シカマルの制止の声を振り切って、影分身をつくったナルは、もはや原形をとどめていない橋の前に立ちはだかると、更に印を結ぶ。複数の影分身をつくり、橋の向こう側へ自分を思いっきり投げてもらった。
影分身達に勢いよく放り投げられたナルは、なんとか向こう側へと飛び移る。

三分の一になっている橋の上にいる影分身達と、シカマル・ヤマトに手を振って、ナルは森の中へ飛び込んだ。

大蛇丸と闘っている左近/右近、そして鬼童丸に加勢する為に。
































大蛇丸の剣に貫かれた左近。
刹那
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