第十七話 幼児期P
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っと俺の服にしがみ付いていた。たくさん泣いたし、緊張も不安もあったからか、今は俺の隣ですやすや眠っている。
「もうすぐ、母さんに会えるからな」
俺は囁くように告げる。大きな事件だし、重要参考人である母さん達と会うには、まだもう少し時間がかかるだろう。それでも、早く会いたい。会って、話をしたい。いつもみたいに楽しくご飯を食べたり、くだらないことで笑い合いたい。
そのためなら、俺は頑張れる。俺に出来ることを精一杯にやってみせる。
「コーラル。通信をお願い」
『……やるんですね』
「あぁ。母さんに会えたら、俺達も自由に動くことは出来なくなるだろうしな。なら、今しかない」
母さんと再会すれば、おそらく親子共々管理局の監視下に置かれるだろう。ヒュードラの開発主任である母さんを野放しにはしないだろうし。なら、特に監視も何もされていない今なら動ける。
俺達のつかんだ証拠。俺はぐっと拳を握りしめる。母さんを追放なんてさせてたまるか。俺達家族のこれからを、誰にも奪わせはしない。
コーラルを介し、連絡をとりつけた俺は転移を発動させる。留守をリニスに任せると、いってらっしゃい、というように猫パンチを背中に軽くもらった。それに俺は、小さく笑ってしまった。うん、頑張って来るよ。
俺の知っていた物語は終わってしまった。未来は不確定なものとなってしまった。だけど、焦りはしない。だって、これから始めていけばいい。俺達の新しい物語を、未来を紡いでいけばいいのだから。
俺達が母さんに会えたのは、事故から1日過ぎた病院の中だった。局員さんに連れて来てもらった病室で、家族は再会を果たした。俺達を見つけた母さんは、大粒の涙を流しながら抱きしめてくれた。
連絡をもらってからも、ずっと心配していたこと。俺達の無事な顔を見られたことへの嬉しさ。母さんの言葉1つ1つに感じる安堵と俺達への情愛。アリシアが母さんの名前を何度も呼びながら、涙をこぼす。俺も母さんの服を握りしめながら、涙が溢れていた。
1人の少女を救いたいと願った少年によって、1つの物語は終わりを迎えた。
そしてこれから始まるのは、それでも幸せな未来に向かって歩き続けることを選んだ、1人の少年による物語である。
少女1人>リリカルマジカル 幼児期 −終−
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