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少女1人>リリカルマジカル
第十七話 幼児期P
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る。それでも、生きている。俺もアリシアもリニスもみんなこうして生きているんだ。

 涙を流すアリシアが落ち着くまで、俺は何度も背中をさする。今はいっぱい泣かせてあげるべきだと思ったからだ。あんなもの、5歳の子どもの心にずっと燻ぶり続けるなんてまずい。

 すべてとは言わないが、それでも涙が洗い流してくれることを俺は祈った。



******



『うん、俺達は大丈夫だよ。母さんは怪我とかない? ……そう、よかった』

 コーラルにデバイスの通信機能を繋げてもらい、母さんと連絡をとった。母さんの声は震え、何度も俺達が無事であったことを喜び、心配してくれていた。俺も母さんが無事であったことに安堵した。原作で大丈夫だったのだとしても、やはり声が聞けてよかった。

『ご無事みたいですね』
「うん。今管理局の局員さんが対応しているところだって。母さん達は一旦病院に行って、検査してもらうみたい」
『やはり今すぐには会えないですか』

 コーラルの言葉に俺はうなずく。俺達が今いる場所は、時空管理局の一室だ。あれからアリシアが落ち着いた後、俺は転移を発動させて管理局へと赴いた。今すぐにでも母さん達のもとへ帰りたいとも思ったが、事故による影響で駆動炉もその周辺も安全かどうかわからなかった。二次被害が起きる可能性だってある。

 それならば、安全な場所へ向かうべきだと結論を出した。母さんには通信で無事を知らせることもできる。管理局へ転移したのは、俺達の保護を求めるためだ。それに管理局に事故のことを話さないと駄目だし、母さん達の保護をお願いする必要もあった。


「しかし信じてもらうために事故の映像を見せたけど、コーラルを証拠映像として持ってかれそうになった時は焦ったな」
『5歳の子どもが、いきなりミッドの辺境で事故が起きたと言っても信じ難かったでしょうしね。でも、すぐに出動してくれてよかったです』
「泣き落としたら持っていくのやめてくれたしね。いい人達だった」
『……5歳の子どもに無理強いはできないでしょうよ』

 まぁ、狙ってやったことは否定しないが。コーラルを持っていかれると困るため、とりあえずやってみたがさすがは5歳児。事故の映像は別個でちゃんと提出したし、問題はないだろう。


「なーう」
「あ、ごめんごめん。もうちょっと声のトーン落とすよ」
『すいません。……アリシア様も、よく眠っておられますね』

 リニスの注意に俺とコーラルで謝る。ちらりと横を見ると、俺が座るソファの隣でアリシアの肩が静かに上下していた。俺は妹を起こさないように気をつけながら、金色の髪を手で梳くようにかき撫でた。

 アリシアは目まぐるしく変わる状況についていけなかったのだろう。管理局に着いてからは大人しかったし、ず
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