第十七話 幼児期P
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ない。あの違和感は今までのように、俺の奥底に潜んだのだと思う。
腕の中のぬくもりを、俺はもう一度ぎゅっと抱きしめる。この温かさを失っていたかもしれない。そう思うだけで手が震えてくる。正直に言えば、俺は本当に怖かった。死も、失うことも。
今だって気を抜いたら泣き出しそうだった。それでも俺が今それに耐えているのは、兄として妹を安心させてあげることが先だと思ったからだ。
『上手くは言えないです。それでも言葉にするのなら、ますたーの目は……何も映っていないように思いました。その、なんだか怖い感じがしました』
「そうか」
それだけ言うと、コーラルは押し黙る。あれの原因は、俺自身確信はない。もしかしたら、という考えはあるが、それが正解なのかもわからない。それについて相談もできない。
俺は転生したことを誰にも言うつもりなんてないのだから。原作知識なんてもってのほかだ。話したって頭がおかしいと思われるだけかもしれない。まぁ、それはある意味慣れているから置いておくけど。
一番言いたくない理由はわかっている。原作は好きだけど、だからって家族が死んでしまうことを、俺は口に出したくないだけだ。アリシアが死んでしまうことも、母さんが狂ってしまうことも、誰も知る必要なんてないと考えているからだ。
それでも、このまま「あれ」をほっといてもいい問題にはならない。
「もし、また俺がそんな風になったらさ。頭突きでもなんでもしてくれていいから、止めてくれるか」
『僕がですか』
「うん。コーラルならいつも俺の近くにいてくれるだろ」
俺が1人の時はいい。そのまま逃げればいいのだから。だけど俺の他にも人がいたり、守りたいものがあったら?
今回みたいに、次も意識を取り戻せるかわからない。それだけ、あの情動は重かった。後少しでも遅れていたら、きっと間に合わなかった。あそこで俺の意識が覚醒できたのも、運が良かったとしか思えなかった。
『……わかりました』
「ありがとう」
たくっ、本当に問題ばっかりだ。なのはさんたちのことも、事故のことも、母さん達のことも、俺のことも。なんでこんなにいっぱいあるんだろ。両手があいていたら、髪を掻き毟っていたかもしれない。1つ1つ地道に解決していくしかないんだろうけどさ…。
『いえいえ。どんなことをしてもOKの許可はもらいましたから、遠慮なくやらせていただきます』
「にゃう!」
「え、いや……やっぱちょっとは遠慮してよ? あと、なんでリニスさんもやる気満々なの。そこで猫パンチの練習しないでよ。風を切るようなパンチを猫が出さないでよ」
やべぇ、色々早まったかもしれない。
「まぁ、でも…」
本当に問題はいっぱいある。これからに不安なんてたくさんあ
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