第十七章
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「全て」
「それは何よりです」
「死ぬ時に苦しみ死んでからも苦しむなぞ」
それこそとだ、速水は眉を曇らせて語った。
「あってはなりません」
「その通りです、罪なき子羊は」
「安らかに眠るべきですね」
「そうです、ですから」
それ故にと言うのだった。
「彼女達を救ったのですが」
「素晴らしいことです、では」
「彼女達を苦しめた邪悪を」
これよりとだ、速水は今度は右目を怒らせた。そうしてそのうえで言うのだった。
「これよりです」
「倒すのですね」
「そうします」
声も強いものだった。
「聖堂の中に入り」
「是非ね、私は女の子は好きよ」
紗耶香も言ってきた。
「それもかなりね、、けれどね」
「それでもですね」
「こうしたことをする趣味はないわ」
浄化された彼女達を見ての言葉だ。
「断じてね」
「貴女はそうした方ですね」
「ええ、だからね」
それ故にというのだ。
「あの神父を余計に許せなくなったわ」
「それでは」
「今から行きましょう」
紗耶香も言った。
「あの神父のところにね」
「はい、では」
「私は貴方とは違って浄化は出来ないしすることもないわ。けれど美女を粗末にすることは許せないわ」
そのこと自体がとだ、紗耶香は速水に応えた。
「だからね」
「同行して頂けますね」
「むしろ私の方から誘いをかけるつもりだったわ」
「有り難きお言葉。それでは」
「行きましょう」
「及ばずながら私も」
司教も二人に同行すると申し出た。
「そうさせて頂きます」
「宜しいですか、危険ですが」
「それは承知のこと。足手まといになるつもりもないですし」
「そうした場所にはですか」
「足を踏み入れません、お二方の戦いを見守らせて頂きます」
こう速水に答えるのだった。
「その為に」
「左様ですか、それでは」
「同行させて頂きます」
「では」
速水は司教を受け入れ紗耶香も無言でそうした、こうしてだった。
三人で神父を探していった、聖堂の中は静まり返り朝だというのに暗く不気味なの闇の中にあった。だが。
妖気、えも言われぬドス黒いそして身体全体にまとわりついて不快なことこの上ない気持ちにさせる気配が聖堂の中を覆っていた。その妖気を感じてだった。紗耶香は整った眉を曇らせて速水と司教に話した。
「こうした気配はね」
「貴女はお嫌いですね」
「ええ、女の子や美少年の香りや肌の感触は好きだけれど」
紗耶香は速水にこちらのことは妖艶に笑って述べた。
「こんな嫌な妖気はね」
「左様ですね、実に嫌な邪悪さを感じます」
「狂信、それに満ちたね」
「否定するべき邪悪です」
「全く以てね、こうした邪悪に対してはどうすべきか」
「そのどうすべきかを行う為に私達はこ
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