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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十八話 余波(その4)
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走った。
「気を付けた方が良い。……少しヴァレンシュタイン中将に怒るんだな。自分も被害者だと周囲にアピールした方が良い、そうじゃないと情報部での立場が無くなるぞ」
「……」
「忠告はしたからな」
そう言うとザックスは席を立ち部屋を出て行った。足音荒く大きな音を立てて……。
宇宙暦 795年 9月17日 巡航艦パルマ エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
ベリョースカ号から巡航艦パルマに移乗するとゼノ中佐が艦橋で俺達を待っていた。敬礼と共に俺達を迎えてくれる。嬉しいよね、こういう風に迎えて貰えると。思わず顔が綻んだよ。シェーンコップ達も笑みを浮かべている。やっぱり商船より軍艦の方が身体が慣れているのかな。
「ヴァレンシュタイン提督がこの艦に無事戻られた事を何よりも嬉しく思います」
「有難う、ゼノ艦長。人数が少し増えましたが宜しくお願いします」
「はっ」
ゼノ艦長は嬉しそうだな。俺が戻ってホッとした、そんなところだろう。死なれたら責任重大だからな。……いかん、大事な事を忘れる所だった。
「それとベリョースカ号、その他の商船に対して感謝を伝えてください。彼らには随分と御世話になりました」
「承知しました」
ようやく帰ってきた、そんな感じだな。何と言ってもベリョースカ号はちょっと居辛かった。コーネフもマリネスクも露骨には出さないが俺には関わり合いになりたくない、そんな感じだったからな。まあ俺達がフェザーンでした事を思えばそういう態度も仕方ないんだが……。
最後のお別れの時も俺が“色々と御世話になりました。感謝します”と言っても二人とも“どうも”とか“まあ、その”とかだからな。最後なんだし、もう二度と会えないかもしれないんだからにこやかに別れたかったよ。その程度の雅量も無いようじゃ立派な船長にはなれないぞ、コーネフ君。
「閣下、チュン参謀長から連絡が欲しいと有りましたが如何されますか、着いたばかりですし少し時間を置いてからにされますか」
ゼノ艦長が気遣わしげな表情を見せている。俺が疲れていると思っているのかな。まるで久しぶりに戻った息子を気遣う母親みたいだ。
「艦長はハトホルと連絡を取るのでしょう?」
「はい、これから閣下が無事パルマに移乗された事を伝えます」
「ではその時に私も参謀長と話しましょう。その方が二度手間にならずに済む」
「はっ、了解しました」
多分お小言だろう。チュン参謀長にしてみればあんな騒動を起こすとは思っていなかったに違いない。ゼノ艦長がハトホルに連絡を入れると直ぐに繋がった。正面のスクリーンにチュン参謀長が姿を現す。いかんな、額に皺が寄っている、大分気を揉んだのだろう。
「巡航艦パルマ艦長、ゼノ中佐であります」
「うむ、参謀長のチ
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