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青女房
第二章
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「もう嘘みたいにね」
「肩凝りがよくなったか」
「そうなったわ」
 こう家で話した。
「快適よ」
「それは何よりだな」
「それで何かね」
 夫にさらに話した。
「サウナとか薬湯もね」
「肩凝りにいいんだな」
「そう聞いたから」
「じゃあ今度そっちに亜美も連れて行くか」
 夫も笑顔になって二人の娘の名前を出して提案した。
「スーパー銭湯に」
「あっ、この区の」
「うちから少し行ったらあるからな」
 そのスーパー銭湯がというのだ。
「八条温泉な」
「あそこに行って」
「サウナに入って湯舟にも浸かってな」
「肩凝りをなのね」
「今以上になおすか」
「そうね、じゃあね」
「ああ、家族でいこうな」
 夫から言ってだった、こうしてだった。
 三人でそのスーパー銭湯に行くことになった、夫は車で店の駐車場に入って車を停めた時に亜希に話した。
「八条グループの社員と家族は割引あるらしいな」
「あっ、じゃあ」
 亜希は夫の言葉を聞いて笑顔になった。
「私達八条運輸の社員だから」
「丁度いいな」
「そうよね」
「この辺りうちのグループいいよな」
「社員の福利厚生がいいからね」
「割引もあってな」
 それでというのだ。
「何かと助かるよ」
「そうよね」
「じゃあな、僕もゆっくり入るよ」
「あなたも肩凝り?」
「課長になってこれでもストレス溜まってるんだよ」
 夫は妻に少し苦笑いになって話した。
「部下は皆頑張ってくれてるけれど忙しくてな」
「大変だから」
「考えることが多くて」
「ストレスも溜まってるのね」
「だから今から」
「お風呂に入って」
「すっきりしてくるよ」
 こう妻に言うのだった。
「今から」
「それじゃあね」
「ああ、お互いにな」
 風呂に入ってすっきりしようと言ってだった、それぞれ入浴券を買ってから男湯と女湯に向かった。娘は亜希が連れて行った。
 そうして亜希は娘の亜美自分の子供の頃にそっくりだが髪の毛の質は夫のものである彼女と一緒に脱衣場で服を脱いでから家から持ってきたタオルを手に二人でお風呂に入った。そうしてだった。
 娘と一緒に風呂を楽しみだした、そうして肩凝りを癒していたが。
 ふとだ、露天風呂に入っていると一緒にいた娘からこんなことを言われた。
「お母さん、あそこの人だけれど」
「あそこ?」
「そう、あの人」 
 自分達から三メートル位離れたところにいる四十程の女性を見ての言葉だった。見れば長い黒髪を上げてまとめて湯に入らない様にしている。眉は手入れしていないのか典型的なげじげじ眉毛であるが顔立ち自体は悪くなく肌も白く奇麗である。
 その女性を見つつだ、娘は亜希に話した。
「歯が黒いよ」
「歯が?」
「ほら、お口のところ見たら」

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