アイングラッド編
紅き剣閃編
Make a vow and fidelity―誓いと忠誠
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と面倒をかけた……すまん」
「いや……俺の方こそ……」
そして、俺は自分の罪を告白する。
血盟騎士団に戻った理由、その対価と犠牲。
「俺は……お前達を利用した最低な奴だ。俺に、謝られる資格はない……」
「……それはそれ、これはこれだ」
「はぁ?」
思わず間抜けな声を出してしまう。
最悪、罵倒されることまで想定していた俺としては拍子抜けだ。
「いつもお前が言ってんだぜ。『たらればの話をしたってしょうがい』って」
「馬鹿だな……お前」
「……レイ君は何でも背負いすぎだよ。少し、息抜きしたらいいよ」
「余計なお世話………ん?」
頬が濡れている……雨か?
いや、ベタなボケはよそう。
「…………っ」
この世界に来て初めて、俺は泣いている。
4年前のあの日、俺は自分に弱音を吐くことを禁じた。
喜怒哀楽、それらは全て無用の長物、と断じて。
そして、この世界に来て大切な人たちと触れ合った。
喜び、怒り、哀しみ、楽しんだ。それらをしても良いのだと教えてもらった。
一番、教えてくれたのはこの2人だ。
安堵した。この2人が居なくなったら俺は立ち直れないと今思った。
おもむろに、2人の傍まで歩いて行くと片膝をつき、頭を垂れる。
まるで、主人に忠誠を誓う騎士のように。
「……2人は何時如何なる時も俺が守ってみせる。これは絶対の誓い、何があっても破られることはない」
驚いた表情をしているだろう2人にむかってさらに続ける。
「2人に害をなすものは何人たりとも許さない。必ず、守り通す」
この誓いを立てるのは2度目。
これが、せめてもの恩返しだ。
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ヒースクリフに事の顛末と3人分の一時退団申請をすると、しばしの黙考の上、了承された。
「……面倒をかけたな」
「なに、大したことではない」
「なるべく早く戻ってくる」
「待っていよう」
2度目の退団は1度目と違って心に波をたてずに終わった。
キリト達とは転移門で別れた。しばらく会うことはないだろう。
新居が決まったら連絡するとは言ってたが、いつになるかはわからない。辺境の家でも買わないと、アスナの結婚を知られたら一大事だ。
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Side カイト
「…………」
ギルド本部に戻ってきても気持ちがざわついていた。
――結城
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