第一章
[2]次話
ほのかに甘くHOLIDAY
僕にも彼女が出来た、そのことを友達に自慢して言うとその友達はまさかという顔になって僕に言ってきた。
「嘘だろ」
「あっ、そう言う?」
「お前みたいな奥手の奴がな」
こう言うのだった。
「顔やスタイルはともかくとしてな」
「そっちは問題ないんだ」
「時々信じられない位柄悪い奴が女の子と一緒にいるだろ」
「ああ、あるね」
「チンピラみたいなな」
「うん、結構見るね」
「下手な不細工よりもな」
むしろというのだ。
「そうした奴の方がな」
「彼女出来そうにない、だね」
「俺はそう思うけれどな」
それがというのだ。
「彼女いたりするだろ」
「相手の娘も大抵ケバいけれどね」
「類は友を呼ぶ、でな。どうしようもない屑でもな」
今度は性格の話だった。
「彼女いたりするよな」
「それでヒモになってたりするね」
「人間顔よりもな」
むしろというのだ。
「わかるよな」
「うん、中身だね」
「それなのにな」
「どうしようもない屑でもだね」
「それこそ働かなくてな」
そしてというのだ。
「酒に博打に女にな」
「もう三拍子揃ったね」
「屑いるよな、けれどそんな屑でもな」
「彼女いたりするから」
「そういうことしなくても働かなくてな」
このことは三拍子そろった屑と同じだった。
「尊大で勝手に人の部屋で本漁ってその本がどうとか偉そうに言って尊大で無神経で図々しくて他人の批判ばかりしてな」
「それ君の親戚だよね」
「わかるか?」
「物凄く生々しいから」
その言う内容がだ、もっと言えば表情が実に苦々し気で忌々し気だから下手な知り合いでないこともわかった。
「わかるよ」
「そうか、しかも恩知らずで器が小さくてな」
「まだ言うんだ」
「こうした屑でも結婚していたんだよ」
「していたんだ」
「ああ、今は流石に三行半突き付けられてな」
そしてというのだ。
「それでも働かないでいたから暮らせなくなって」
「それでどうなったのかな」
「サラ金に手を出してな」
「本当に屑だね」
「今はタコ部屋にいるよ」
「ああ、返済の為に」
「そのまま帰って来るな」
心からの言葉だった。
「そう願ってるぜ」
「君も大変な親戚がいるね」
「そんな奴でもな」
どうしようもない屑でもというのだ。
「彼女いたりするしな」
「それどころか結婚もだね」
「出来るだろ」
「そうだね」
「ああ、けれどな」
それでもというのだ。
「奥手だとな」
「出来ないっていうんだね」
「チンピラでも屑でもな」
「彼女が出来るのは」
「奥手じゃないからな、もう図々しい位でないとな」
そうでなければというのだ。
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