暁 〜小説投稿サイト〜
ストライクウィッチーズ 流星の白虎と暴れ馬のウサギ
運命が動き出す時……。中編
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鍵をあける。
開けたトランクの中に納まっているのは、見た事も無い特殊な形をした工具や接着剤や剥がし液の数々……。
そして、まるで小説『ピーターパン』に登場する「フック船長」の左腕を思わせる無機質な作業用の工具の付いた”作業用義手”だ。
「……はぁ」
これを見る度に、自分が改めて普通の人間ではない事を突きつけられるような気がして、憂鬱なんだよな……。
だけど、今からやるのは、少なからず今の俺が”人間らしさを保つのに必要不可欠な作業”であり、義務だ。
そう自分自身に言い聞かせるかの様に、俺は胸の内で呟きながら、俺は素早く作業を開始する。


まず最初に上着を脱ぎ、肌着だけになると、続け様に口の中にマウスピースを咥える。
口の中に入れたマウスピースを噛みしめながら、俺は右手で左腕の肩部分にうっすらとあるシミの様な模様を指で広げる。
広がったその部分から、黒々とした無機質なナットを連想させる機械部品が顔を出す。
それを確認しながら、俺はトランクの中から、T字型ソケットレンチに似た工具を手に取り、それをナットを思わせる様な機械部品に差し込む。
差し込んだ機械部品とレンチがカチリと噛み合うのを確かめると、俺は一回息を「ふぅ〜……」と吐く。
そして、息を吐き終えると同時に、思いっきり全身全霊の力でレンチを回す。
「っ!!」
この間、左腕から、左肩に掛けて走る鈍い痛みを堪えつつ、数秒程、力を入れてレンチを回していると、次の瞬間、左肩から、全体にかけて、電気ショックの様な痛みと痺れが体全体を駆け抜ける。
「ぐあっ!」
この痛みに俺が思わず声を漏らすと同時に……。

ガチャン!

……とまぁ、普通の人間の体なら、間違っても鳴る事は無い金属音が鳴り響き、左腕が、まるで骨折したかのようにダランと力なく下に垂れる。
「はぁ……、はぁ……、はあ……っ!」
激痛によって、乱れる息を整えつつ、俺はブラブラと揺れる左腕を掴み、思いっきり全力で下に引っ張る。
その瞬間、先程と同じ様にガチャン!という金属音と共に、”左腕が引き抜ける”のだった。
「はー……、はー……」
俺は、まだ荒れている息を整えつつ、左腕が引き抜かれた、左肩に目をやると、そこにはギラリ!とした銀色の光沢を放つジョイントパーツが顔を見せていた。
そのジョイントパーツに目をやりつつ、先程、引き抜いた左腕を机の上に置くと、入れ替え様に、トランクの中に入っている作業用義手を右手で掴むと、ジョイントパーツに差し込んでいく。
で、その後は、さっきの逆手順で、数秒程、力を入れて作業用義手をジョイントパーツに差し込み、ナットをレンチで締めて、作業用義手を装着するのだった。なぉ、鈍い痛みは同様にある……。
こうして、取り付けた作業用義手。俺は、それが動くかどうかを確認した後、直ぐに先程
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