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蒼と紅の雷霆
蒼紅:第三十七話 悪夢
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テーラは泣き始めた。

そこにいるのはエデンのリーダーとしてではなく、年相応の少女の姿だった。

それを見たGVは彼女から全てを奪ってしまったのだと改めて理解し、兄にパンテーラを任せてシアンとミチルの元に向かう。

「テーラ…すまない…だが、俺達は…俺はお前を失いたくなかった…これが自分勝手だとは分かっている……俺は融通が利かない馬鹿だ…俺の生き方がお前を傷付けるのは分かっていた…だが…こんな俺でも……お前を…」

「ミチルから離れろ!化け物共!」

言葉を遮るような怒声に全員の視線が向いた。

そこには包帯やガーゼが痛々しいが、険しい表情でこちらを睨んでいるアキュラの姿があった。

「貴様か…どこまでもしぶとい奴だ…!」

ふらつきながらも立ち上がり、パンテーラを庇うように立ち、GVも気絶しているシアンを守るように何時でも動けるように構えた。

「アキュラ……ミチル…その女の子は…もう…」

GVが先程シアンと一緒に様子を見た時に彼女は既に息をしていなかったのだ。

何時、彼女が亡くなったのかさえGVには分からない。

「何だと…?クッ!貴様らだ…!貴様ら能力者がいるから…!争いが起きる!!無関係なミチルまでも…何故あいつが死ななければならなかったッ!?」

「無関係…?違うな…貴様の父親の子供であり、貴様の関係者である限り、この小娘は無関係ではいられん…元々この小娘は能力者だ…人の世に蔓延る、人ならざる者。人外魔境、悪鬼羅刹…第七波動能力者の存在そのものが人の世に対する冒涜であり、罪だったか…?良かったな、小娘が勝手に息絶えてくれて…貴様からすれば忌々しい能力者を始末する手間が省けて良かっただろう?」

「貴様っ!!」

かつて歓楽街でアキュラが言っていた言葉をそのまま叩き付けるソウに激昂したアキュラ。

ブリッツダッシュで距離を詰めてくるアキュラに、ソウは咄嗟にパンテーラを抱えて回避する。

「ソウ…」

「テンジアンに誓った。お前は俺が守る…お前は俺が死なせない。」

「俺は許さん…貴様ら化け物共をっ!!神に祈る間もなく、ここで死ね!雷霆兄弟!パンテーラ!!」

「…来い…今度こそ片付けてやる」

ベラデンの最奥で4回目となるソウとアキュラの戦いが始まろうとしていた。
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