蒼紅:第三十七話 悪夢
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、地面に緩やかな速度で下降していく。
「終わりだテーラ…謡精の力を返してもらう」
ソウが雷撃刃の切先を向けるが、パンテーラはまだ諦めていない。
「そうはいきません…私には…まだもう1つの切り札があるのですから…!謡精の歌を奏でよう…寄る辺なき孤独の戦士達に、せめて死という安らぎを…楽園幻奏…!」
パンテーラは最後の力を振り絞り、正真正銘最後の切り札であるもう1つのSPスキルを発動した。
「ぐっ!?こ、これは…」
「ち、力が…抜けて…!」
電子の謡精としての能力なのだろうか、電子の謡精の精神感応能力が作用してソウとGVから体力を奪っているのだ。
ソウは妨害をしようとするが、もう攻撃するだけの力も残されていない上に銃口から発現していた雷撃刃すら消失した。
GVも悪足掻きとして避雷針を撃ち続けるが、パンテーラの歌を妨害するには至らない。
「(…どうすればいい?どうすればテーラを止められる…?俺の攻撃手段の要である紅き雷霆が使えない今……)」
そこでソウはある考えを閃いた。
パンテーラが使っている物の力について思い出したのだ。
「(一か八か…か…)」
これで失敗すれば自分達の敗北だ。
しかし成功すれば、自分達の勝利でパンテーラを死なせることなく止められる。
「GV…悪いが、後は任せたぞ…」
「え…?兄さん…!?」
突如、パンテーラの元へと向かっていくソウ。
GVとパンテーラはソウの無謀とも言える行動に目を見開く。
残り僅かな力を身体能力の強化に使い、パンテーラの歌の波動を至近距離で浴びながらも彼女に触れた。
「な、何を…!?」
「迸れ、紅き雷霆よ!宝剣に囚われた謡精を解き放て!!」
謡精の宝剣に組み込まれている紅き雷霆の因子はソウの物であり、宝剣の力の大部分を紅き雷霆に依存している。
その能力のオリジナルであるソウが触れたことで強制的に変身現象が解除されていく。
「変身が…!?嫌…嫌…!止めて下さいソウッ!!止めて!!私からそれを奪わないでえ!!」
「悪いな…テーラ…謡精の力は…返してもらう!!」
変身現象が強制解除され、飛行能力を失ったパンテーラはソウと共に地面に叩き付けられた。
「う…く…」
「宝剣に…俺の紅き雷霆を組み込んでいたのが仇となったな…」
強制解除された反動か、宝剣に罅が入り、そのまま音を立てて崩れた。
「あ…ああ…」
目の前で粉々になった宝剣に呆然となるパンテーラ。
「………」
「…テーラ…僕達は…」
「嫌…嫌…私達の…楽園……お…兄様ぁ…」
慕っていた兄も、家族同然だった同志を失ってまで成就させようとした理想が完全に潰えてしまい、パン
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