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鋼殻のレギオス 勝手に24巻 +α
第六話 INグレンダン(その4)
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に私が次の女王だって刷り込むためですよ」
 クララの言い分にグッと詰まるアルシェイラ、その言い分の正しさを認めざるを得ないからだ。だがそれに反駁しようとする前にクララが畳みかける。
「エルスマウさん、都市全体に通してください」
 何をするのかとアルシェイラが問う間も止める間もあたえず、クララの声がグレンダンに響き渡る。
『グレンダンの皆さん、私はクラリーベル・ノイエラン・ロンスマイアです』
 ふいに響き渡るグレンダンの支配者の声に皆が立ち止まり、空を見上げる。イレギュラーなことがよく起きる都市とはいえここまで急なことはそうそう起こらない。
『今、世界は変革を迎えています。汚染獣の脅威が少なくなり、やがてレギオスも動きを止める時が来ます。その時我々グレンダンはどうすべきか、他の都市は如何なる動きを見せるのか、予め見定めておく必要があります。私はこれから外の世界を、他の都市の動きを見てくることとします。無論グレンダンが他の都市と同じ動きをする必然はありません。ですが知ることでより良き未来がグレンダンに訪れると私は確信しています。この視察から戻れば私はグレンダンの王位につきます。そして混迷の時が訪れようとも必ずやグレンダンに光をもたらして見せます!!』
 一拍の時を置きグレンダンを歓呼が包み込む。それはクララの演説に対してのみではない。これまでのクララの行動によって実を結んだものだ。
『そんなことは許さないわよ、リン』
 だが往生際が悪いものが一人だけいた。ニーナとクララを取り囲むように鋼糸の網が張り巡らされる。
「二人とも、私を巻き込まないでほしいんだが」
 ぼやくニーナに対して二人ともそんなことを気にしていない。
「何言ってるんです、一蓮托生じゃありませんか。リンテンス様の鋼糸の陣を潜り抜けない限りニーナもでられないですよ」
『そうよ、あんたがいればクララも出ていこうとしないだろうし、色々便利なのよ。クララがあんなこと言っちゃったから少しの間カンヅメになってもらうけどね』
 自身の意見を殆ど無視する構えの両者に対してニーナはすでに諦めの境地に至っていた。自分の目的のためにグレンダンを出なくてはいけないがそのためにはリンテンスの鋼糸を突破する必要がある。力ずくでも決して不可能ではないだろうがかなりの無茶をする必要があるだろうし、周囲に与える損害も軽いものではないだろう。ならば、
「クララ、私から離れるなよ」
 クララの傍に立ち手を握る。頷き握り返してきたのを確認すると高らかにその名を呼ぶ。
「アーマドゥーン!!」
『やばっ、リン!』
 急いで捕えようと指示を出すアルシェイラの声を置き去りに眩い光に包まれた二人の姿はグレンダンから消失していた。

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