第六話 INグレンダン(その4)
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ンスマイア家の屋敷へ戻り砂塵と汗とを洗い流した二人はクララの部屋にいた。ニーナ用の戦闘衣の発注等といった細々とした事を済ませたのちである。
「さて、私も聞きたいことがありますがニーナも聞きたいことからいきましょうか。戦闘の途中で一瞬暗くなったのは念威繰者の交代です。一人の念威繰者に無理をさせないようにローテーション制が採用されているんです。先代のデルボネ様は一人で全てやっておられましたがそんなことができる念威繰者は他にはいません。エルスマウさんは天剣に相応しい念威繰者ですが、無理をする必要がないところで無理をする必要はありません。だから後半は別の念威繰者が私たちのサポートをしていたというわけです」
無理に無理を重ねて剄脈疲労で倒れたことのあるニーナにとっては経験済みで休息の大切さを思い知らされた一件だった。納得し頷くニーナに対し今度は自身の疑問をぶつける。
「今度は私のききたいことですがニーナ、雷迅以外ないんですか? あればっかり使ってましたが」
クララの聞きたい事はといえばニーナの剄技のバリエーションの少なさについてだった。ディックに雷迅を見せられ教師役としてのレイフォンに教わって以来、ニーナの闘いは常に雷迅と共にあったといっていい。
「確かに雷迅ばかり使っているがそんなにおかしいことなのか? そんなこと考えた事も無いが」
「だってあのレイフォンがニーナの教師役だったんでしょう、あの天剣授受者の剄技すら自分のものにするレイフォンから教わっていたのにそれだけという事は無いでしょう」
「確かにレイフォンの剄技は数多くあったが殆ど剄技は教わっていない。雷迅もレイフォンからというより先輩からだし、そもそもレイフォンが雷迅を使う事は無いだろうしな」
以前クララに説明したようにディックから触りだけ教えてもらったニーナが雷迅を習得できるよう『事象が動き』レイフォンが教師役となった。つまり本来レイフォンは雷迅を知らなかったのだ。
「雷迅は先輩の言い方をするなら『愚者の一撃』、己の全てを雷迅に賭けてこそ意味のある剄技だ。レイフォンのように状況に応じて様々な剄技を使い分ける武芸者には不向きだろう」
相手との相性や駆け引きといったものを全て無視し、ただ己の最高の技を繰り出し続ける。己に宿る力を掘り続け、その底を覗き続ける愚かな突進。
『己を信じるならば、迷いなくただ一歩を踏み、ただ一撃を加えるべし』
レイフォンが使用してもその剄量によって普通の武芸者が使うよりは威力が見込めるだろう。だがレイフォンならばその場に応じた他の剄技を使用した方が効率がいいのだ。
他の剄技など不要、むしろ他の選択肢を持たないが故の強さこそが雷迅の神髄。
それは金剛剄も同じだ。攻撃か防御かの違いはあれどそれ一つに賭けるという意味では全く同じである。
「なるほど、確か
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