第六話 INグレンダン(その4)
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は戦いの途中で説明するのが面倒だという利己的な理由、だが後半は事実で汚染獣に何かしらの変化があるように見えた。
「いいだろう。だが後できっちり説明してもらうぞ」
クララへの追及は打ち切り汚染獣に向き直るニーナ。息を整えると彼の者の名を呼ぶ。
「メルニスク!」
その声に応じてニーナの剄量が爆発的に増大し、体から金色の剄が僅かに滲み出す。
左手に持つ錬金鋼を待機状態に戻し剣帯にしまうと別のものを取り出し復元させる。現れたのは今まで物よりもはるかに巨大で鉄鞭というよりも鉄棒といった方が近そうな代物、かつてディックが使用していたニルフィリア製の錬金鋼だ。
大小二振りの錬金鋼を構え剄を練り技を放つ。
活剄衝剄混合変化、雷迅。
メルニスクによる剄量の増大はそのまま剄技の速度威力を増加させる。汚染獣が迎え撃とうとするその腕を潜り抜け鉄鞭をたたきつける。
その巨躯の横腹に抉れた痕を刻み込まれ地を揺るがし仰向けに倒れる。起き上がろうとするがその前にその巨体をけって宙に舞いがある影が一つ。
胡蝶炎翅剣を輝かせたクララが込められた剄を放出する。ニーナが穿った傷を更に抉る風の刃。
外力系衝剄の化錬変化、風穿。
切れ味ではなく貫通力を重視した風の弾丸が触れた端から汚染獣を抉っていく。たまらず悲鳴を上げる汚染獣、大きく広げられた口腔に光るものがある。
未だ空中にいるクララめがけて人の背丈を遥かに超えた、もはや柱といっていい大きさの牙が吹きかけられる。
大半は風穿によって軌道を捻じ曲げられ削り取られ残るは意味のないものばかり。クララの剄技が効果を無くす頃には先ほど以上に剄を練ったニーナが次の剄技を放つ準備を終えている。
活剄衝剄混合変化、雷閃。
雷迅以上の速度と威力で汚染獣に襲い掛かる。横倒しになり狙いやすくなった頭部に突き刺さる。
さらにクララからダメ押しの剄技が襲い掛かる。
外力系衝剄の化錬変化、炎魔。
化錬剄の障壁で対象の空間を隔離しその内部に膨大な熱量を発生させる剄技。閉鎖された空間の温度はとめどなく上昇し汚染獣の頭部を焼き尽くす。
ニーナの雷閃によって硬い外皮を剥ぎ取られてはいかに老性体といえども耐え切ることはできず、その頭部を完全に焼失してしまった。
いくら汚染獣が他の生物とは一線を画した生態をしているとはいえ頭部を失ったその巨体はもはや断末魔の震えを起こすだけだった。
『お疲れ様です、汚染獣の死亡を確認しました。お二人ともお戻りください』
念威繰者による探査ののち告げられた死亡宣告、傍に漂う念威端子は変わらず白銀の蝶だがそこから聞こえてくるのはエルスマウの声ではなかった。
「了解です。それじゃ戻りましょう、あんまり楽しくなかったですしさっさとシャワーを浴びたい気分です」
ロ
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