第六話 INグレンダン(その4)
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老性体の四期か五期といったところでしょうか、『名付き』としては若いくらいですがこれには理由があります」
かつて老性一期と相対したとき、その暴虐に何かできるとは全く思えなかった。それよりもさらに進化した汚染獣を相手に「若い」と呼べるのが信じられなかった。
「汚染獣の行動としては特に奇妙な方向に走ってはなく、巨体からの直接攻撃と頑強な肉体による防御、という単純なものだったそうです。殺せなかった理由はカウンティア様とリヴァース様のコンビだったからでしょう」
その名前にはニーナも覚えがある。レイフォンに教えてもらい自身も使用する『金剛剄』、それのみで天剣授受者になった最強の盾、そしてすべてを切り裂くという最強の矛。このコンビだったから倒せなかったという矛盾のような話に首を傾げる。
「カウンティア様は自身の攻撃に遮断スーツが耐えられないため十回しか攻撃してはいけないと決められていました。十回で倒しきれなかった為逃げ出したのに止めを刺せなかったそうです。だからその硬さは面倒かもしれないですね」
『とはいえ決して油断しないようにしてください。汚染獣の変化は予想もつかない場合が多いです。前回から特異な能力を身に付けていたとしても不思議ではありません』
クララに続きエルスマウから補足と行われる。汚染獣戦はともかく『本物の』老性体戦の経験が全くないニーナにとって、クララにとっては常識であっても知らないことばかりである。
「まあとにかく当たってみるしかないですよ。そのあとは流れで合わせていく、今はそれ以上決めたところで意味無いですから」
「そう…だな、お前と組むのは随分と久しぶりだが頼むぞ」
「任せてください、ニーナがミスらなければ問題ありませんよ」
二人で不敵な笑みを交わし都市外へ飛び出していく。
戦いは一種の膠着状態に陥っていた。ニーナの二本の鉄鞭から繰り出される打撃は確実に汚染獣を穿ち、クララの化錬剄もまた汚染獣を焼き、裂き、貫いていた。
だが汚染獣はその巨体と老性体の名に相応しい回復の速さで、傷を負う端から回復していった。またその体躯を生かした攻撃は直接当たれば勿論のこと、避けたとしてもその圧は並でなく思うままに仕掛けられないでいた。
「全く硬くってしょうがないですね、これじゃあ時間ばかりかかるだけで今一面白くないです」
事実周囲の光景は戦闘が始まる前から一変していた。ニーナとクララの剄技の痕、汚染獣の攻撃を避けた際にできる破壊痕が一帯に広がっていた。
だがそれだけの攻撃が飛び交って尚戦局はどちらにも傾いておらず、結果が出るにはまだ時間がかかりそうだった。
もっともそれはニーナ達が勝利するには、であり汚染獣の攻撃を避けるしかないクララは勿論、金剛剄で防御できるニーナもタイミングと強度がずれれば一瞬で終わる事は疑い
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