第六話 INグレンダン(その4)
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汚染獣の襲来を告げる音が鳴り響き一気に都市全体がざわめきだす。武芸者は迎撃の準備、一般人はシェルターへの避難とそれぞれに動き出す。
だがここはグレンダン、汚染獣の襲来が頻繁にあるこの都市で慌てて行動する者は殆ど居らず淡々と自らの役目に沿って行動を開始する。
「アンリ、トビー、みんなを並ばせて」
「みんな、全員いるよね。持ち出し袋は持った? リーリン姉さん、先に行きます」
孤児院の庭に集まった子供たちを引率するが、引率する方もされる方も慌てる様子はない。むしろ遠足か何かにでも行くようにきちんと整列して整然と動いていく。年長の子供を先頭に、最後尾からリーリンが全体の監督をするようにして行進してシェルターへ向かう。
『クラリーベル様、ハイア、予定通りです』
その場に残ったニーナやクララに寄って来た蝶型の念威端子から敵の情報が伝えられる。グレンダンの目と耳を司る念威繰者エルスマウからの通信だ。
『そうね、だからいつものアレいくわよ。準備して』
続いて聞こえてきたアルシェイラの声に応じて念威端子が映像を映し出す。何本かの縦線とその縦線を結ぶ横線が引かれている。
「あエルスマウさん、せっかくなんでニーナも参加にしましょうよ」
『いいわね、それ』
横から入って来たアルシェイラの声と同時に縦線が一本追加される。
「ほらニーナ、一番で良いですからどれがいいです?」
何のことかわからないながらも適当に選ぶニーナ。そのあと順々にマークがつき五本がすべて埋まる。
「それでクララ、これはいったい何なんだ。早く備えなくていいのか?」
「これはですね……汚染獣戦出撃を決める天剣アミダ大会です!」
「はっ?!」
思わずニーナの声が裏返ってしまった。だがそれに構わずクララは説明を続ける。
「あれから老性体があまり出なくなってしまいまして、天剣も人数が少ないので私とリンテンス様、先生、バーメリン様とが抽選で誰が出るか決めているんです」
汚染獣とくれば総力を挙げて対処する他の都市では考えられないことだがこれがグレンダンの普通である。そう自分を納得させたニーナだがまだ疑問に思うところはあった。
「ならなぜ私もはいっている? それにハイアはなぜくじに参加していないんだ?」
「それは簡単な理由です。ニーナに天剣クラスの力があることはわかっていますし、どのくらいか知りたがっている人が多いってことです、たとえば私とか。ハイアについて、ですがハイアは天剣としては異色扱いなので」
「俺っちは老性体戦には出ないさ」
老性体と戦うのが天剣授受者の役割だと聞いていたニーナはどういう事なのか戸惑う。
「俺っちは老性体とタイマン張るには力不足さ。悔しいけど剄の量がとてもじゃないが足りないのさ」
「レヴァンティンとの戦いの前に十二人揃えといた方がいいか
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