蒼紅:第三十一話 凍結
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……理由は…お前を倒せばテーラが悲しむからだ。正直自分でも馬鹿なことをしていると思う…だが、あいつは…俺にとっても大事な家族だった。今でもそう思っている……少しだけでもあいつの心配くらいはさせてくれ…俺はあいつの傍にいてやれない…だから、せめて最後の戦いの時まで…お前に……」
言葉を言い切る前に銃声が鳴り、ソウの左肩から血が噴き出した。
突然のことにソウもテンジアンも理解が追い付かず、激痛に膝を着いたソウが後ろを振り返るとアキュラと少女の姿をしたロロがこちらを睨んでいた。
「貴様…」
「グリードスナッチャーからの時間差なしの攻撃なら流石の貴様にも通るか…(以前よりも更に効果が薄い…奴の装備のせいか…)」
「…ようこそ無能力者。と言っても歓迎はしないがな?戦闘で疲弊している相手に不意討ちとは、愚かな無能力者らしい野蛮な行為だ」
敵対しているとは言え、流石に自身との戦闘で疲弊しているソウに不意討ちを仕掛けたことにはテンジアンも嫌悪感を露にした。
「能力者(化け物)と交わす戯言などない。そこの能力者(化け物)を葬ったら貴様もすぐに俺の眼前から消し去ってくれる」
「流石は無能力者様だ。傲慢で、愚かな言論…お前のような奴がいるから…!」
「………」
テンジアンが立ち上がるよりも先にソウがゆっくりと立ち上がった。
「悪いが、こいつを潰すのは俺にやらせてくれ」
「だが、君は先程の不意討ちで……」
テンジアンの言葉は続かなかった。
何故ならソウの表情は圧倒的な怒りと殺意のあまりに無表情になっており、その威圧感によってテンジアンの口は塞がれてしまう。
「テーラのところに帰ってくれ。少し派手に暴れることになりそうだからな…速く帰ってあいつを安心させてやってくれ…」
「………分かった…この命、拾わせてもらう…君とはいずれ…相応しい場所で決着をつけよう」
「ああ」
テンジアンがこの場を離脱すると、先程のソウの表情を思い出す。
怒りと殺意に満ちたあの表情…本物の悪魔を見たような気がしたからだ。
「………その悪趣味な人形はさっきの鉄屑か?モルフォの出来損ないのコピーと言ったところか…先程の不意討ちといい、どこまでも人を苛立たせることに関しては貴様らは天才だな」
「流石の貴様もその体では満足に戦えないはずだ。今度こそ貴様の息の根を止めてやる…」
「片腕を潰したくらいで勝ったつもりでいるのか?流石は無能力者…どこまでもお花畑な頭をしている。寧ろこれで丁度いいハンデ…いや、これでもまだハンデにはならんな。貴様のような雑魚が相手ではな…ふむ、特別サービスと言う奴だ…この状態で回復とカゲロウ無し、更に銃でのショットと雷撃刃、SPスキルは使わない状態で相手をしてやろう
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