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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
Duel:11 日立郷(ヒタチサト)
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おお……っ!」

 更に苛烈に、アイツが速度を上げれば、こちらが力と重さで詰める。二刀の切っ先が胸を首を掠っていく。その刀と鍔迫り合うに合わせてトリガーを引いて、アイツを撃つが、頬を撫でるばかりだ。

 ―――楽■■! ■しい!

 視界が赤い部分が減ってきた。コレで少しは見やすくなった。
 必殺に近い剣戟に、隙などある訳が無い。刃が触れ合う度に飛び散る火花も、一瞬たりとも掻き消えることはなく、ずっと俺達を照らしている。
 もう腕も限界に近い、これ以上速度を上げられると抜かれてしまう。
 それが意味するのは、正真正銘の正面からの■北だという事。魔力量で■け■わけでもない、特別な要因で負■■わけでもない。純粋な■敗だ。

 おそらく決着が着くとすれば……おそらくそれは刀ではなくて―――

「……も、う。やめてください。主ぃいい!!」
 
 子供のような、悲鳴の様な声と共にアイツの動きが刀が鈍るのが見えた。その一手を逃さず、大きく弾いて。それと連動させた左の拳を胸に添えて。

 徹す。

 衝撃を通した。否、通してしまった。
 直後にアイツが血を吐くと共に正面に立つ俺に寄りかかると共に。

「……勝っ……たんだか、ら。せめて、笑え、よ……」

 血を流しながら、血を吐きながら。アイツは笑う。楽しさと悔しさが滲んだ……この顔を俺は知ってる。優夜や煌、紗雪、時雨との勝負に負けた時に。俺はよくしていたんだから……。

 ずるり、と前のめりに倒れるように地上目掛けて墜ちてゆく。

 待ってくれ。
 
 いや、何時からだ? 
 
 アイツを殺すではなくて、何時から変わった? 何時からそれを認識できなくなっていた? 

 何時から、死ぬために戦うのではなくて……何時から、勝ちたいと願ってしまった?

 体が震える。腕が自分のものではないように云うことを聞かず、大きく震える。

「――――――ぁぁぁ」

 違う、違う、違う違うちがうちがうちがうチガウチガウチガウチガウ。

 こん、な。アイツなら、俺を葬ってくれると分かっていたから、だから。アイツなら、俺をアイツラの元へ送ってくれると信じてたから、こんな勝負をしかけたのに。
 あの日何も出来なくて、ただ流されるだけだった俺を殺してくれる筈の、唯一の人物なのに。

 アイツを殺しても、ただ何もならないのに、何故……俺は、自分は、私は、
 
「ああぁぁぁあぁあああああああああああ!!!!!!!」

 分からなくて、ただ叫ぶことしか出来なかった。
 


――side流――

「……も、う。やめてください。主ぃいい!!」

 そこで意識が覚醒した。次に感じたのは腰に奔る痛み。見えたのは、大粒の涙を流してる花霞の姿と―――
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