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魔法少?リリカルなのは UnlimitedStrikers
Duel:10 響
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――

 心が砕けるような、全てが真っ黒に染まるような……。そんな絶望を感じていたのに。どういうわけか、体は熱く。気持いい(・・・・)という気持ち悪いギャップを感じていたこと。
 よくわからない、多幸感(・・・)に比例して心は淀み、それが更に俺を追い詰めてゆく。


 目が覚めた時。未だ誰も起きていないことに感謝した。まだ残暑が残る9月だと言うのに体は冷え切ったように冷たく、冷たい汗が流れている。
 隣に眠るはなや、小さなフェイト達の顔を見て改めて夢で良かったと……心から安心した。
 何でこの部屋に? とは思ったけど、それ以上に夢見た内容が頭から離れなくて……。
  
 その後は……夢は夢だと判断して。一旦は置いとくことを腹に決めた。

 こんな時に魔力を扱うことが出来て、念話が出来たらな。と思った……。
 所詮は夢だと分かってる。そして、夢なんかに精神的に削られるなんて思っても居なくて……。だから、ちょっとだけ……ほんの少しだけ……フェイトさんと話がしたかった。


――sideサト――
  
 考えたくなかった。今いる緋凰が奏が、皆が体験してきたことを聞きたくもなかった。
 皆が笑ってる。それはとてもいいことだと分かってる。だけど、それはあの事件を乗り越えた人たちなのだから。自分が知っているものとは大きく異なることだから、と。

 でもそれは……八つ当たりだと分かっている。向こうからすれば知ったことではない事。一人で勝手にいじけている事だと。
 
 だから話を聞こうと思った。何処に居るか分からない緋凰を探そうと旅館の中を散策していた。

 でも、他の誰かと鉢合わせをしたくない。だから全く同じ様に気配を消して、お互い同じ癖を持っていたからこそ。

「え、あ。失礼」「……すまない」

 大浴場へ通じる曲がり角に差し掛かった時にぶつかってしまった。だけどお互いに顔を合わせ、黒色の懐かしい瞳が見えた瞬間。
  
 ―――嫌という程、情報が流れ込んできて。眼の前に居る緋凰響のコレまでを垣間見てしまった。

「……な、ん。お前、まさ……か」

 声が震える。更に頭に入ってくる情報量の多さに目眩がする。
 それは、あちらも同じらしく。小さく震えながらこちらを見据えて―――

「は、はは……嘘、だろ」

 どちらが言ったのか分からない。あちらが言ったのかもしれないし、こちらから漏れたのかもしれない。

 ズグリ、ズグリと心が脈打ち、どす黒いモノが()の内に渦巻いてゆく。

 ―――だからこそ。コレが嘘だと、信じたくて……認めたくなくてッ!

「……外で待つ。話が……したい。」

 震える声でそれだけを告げて……逃げるように、その場を後にした。


――side
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