第一章
[2]次話
娘と七面鳥
アメリカのネイティブアメリカンに伝わるお話です。
ある村に虹という名前の娘が暮らしていました、娘はいつも家のお仕事特に七面鳥の世話に頑張っていました。小柄で切れな黒髪を左右で編んでいる黒い目がとても大きくて褐色の肌がとても奇麗な娘です。
いつも真面目に働いて遊ぶこともしませんでした、両親はそんな娘に対してよくこう言いました。
「たまには羽目を外していいんだぞ」
「遊んできたらどう?」
「折角歌も踊りも得意なんだからな」
「遊んでもいいのよ」
「私遊ぶと夢中になるから」
そうした性格だからだとです、虹は両親に言うのでした。
「だから遊ぶことよりもね」
「仕事に励んでいるのか」
「特に七面鳥達の世話に」
「しかもうちは貧しいでしょ」
このこともあるというのです。
「いい服もないから」
「だからか」
「遊びにも出ないのね」
「いつもの服で遊びに出ても」
その質素な身なりでというのです。
「場違いだから」
「それでいつもか」
「働いているのね」
「そうしているの」
こう言って実際に働き続けるのでした、ですが七面鳥達の世話をしていて人間が自分だけの時は村で一番強い若者である強風のことを想って彼のことを呟いてお祭りの時に一緒に歌って踊れたらとも言っていました。
そんな中で、です。村でお祭りの時になりましたがこの時も虹は両親に家のお仕事をすると言っていこうとしませんでした。
そして自分だけお家に残って本当の気持ちを隠して七面鳥達の世話をしていました。するとでした。
その彼女にです、こう声がかけられました。
「お祭りに行ったらいいじゃない」
「服がないなら出してあげるよ」
「そして強風と踊ってくればいいよ」
「私達が助けるから」
「えっ、この声は」
まさかと思ってです、虹は周りを見回しました、すると周りには七面鳥達がいます。それで彼女もわかりました。
「七面鳥達が」
「そうだよ」
「僕達が言ってるんだよ」
「生きものだって実は喋ることが出来るんだ」
「それで虹さんに言ってるんだよ」
「助けるってね」
「そうなの、けれど私は」
虹は七面鳥達に暗いお顔で答えました。
「奇麗な服や飾りも持ってないし」
「だからそういうのを出すから」
「安心していいよ」
「僕達の力で出すから」
「それを着てお祭りに行けばいいよ」
「けれど遊ぶことに夢中になるから」
今度はこう言うのでした。
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