第一章
[2]次話
不思議なお婆さん
農夫ミクーラ=セリャニニーウィチはその老婆の話を聞いてこう言った。
「そりゃまた酷い婆さんだな」
「あんたもそう思うかい」
「思わない筈がないじゃないか」
かなりの大柄で朴訥な顔をしている、金髪は短くしていて黒井目の光は優しい。身体つきはしっかりとしている。着ている服はロシアの農夫の厚い上着とズボンに靴といったものだ。
「旅人や子供を捕まえてだよな」
「そうさ、片っ端からな」
「それでこき使ってちょっと落ち度があるとだよな」
「竈で焼いて食うんだよな」
「わしが今言った通りにな」
ミクーラと同じ村に住んでいる老人が話した。
「それで婆さんの家にはだ」
「でかい鶏の一本足の上に乗ってるんだな」
「その周りは食われた奴の骨がうず高く積まれてるんだ」
「本当にとんでもない婆さんだ」
ミクーラは怒って話した。
「俺はそんな奴は許せないからな」
「赦せないならどうするんだい?」
「決まっている?その婆さんのところに行ってな」
そうしてというのだ。
「やっつけてやる」
「そうするのかい」
「俺のこの力でな」
ミクーラは怪力だ、それが彼の強さの源なのだ。
「そうしてやる」
「ロシア一の力持ちのあんたがか」
「そうしてやる、じゃあ今から婆さんをやっつけに行って来る」
「居場所はわかるのかい?」
「ロシアを旅していればわかるさ」
ミクーラは老人にあっさりと答えた。
「それでな」
「今からかい」
「行って来るな」
「随分と気楽だな」
「そうかい?」
「途中で行き倒れたりしない様にな」
「そうしない様にするさ」
旅の途中の行き倒れについてだ、ミクーラは老人に笑って返した。
「俺も」
「それはどうしてするんだい?」
「決まってるさ、途中で狩りをしたりしてな」
「そうしてかい」
「ものをちゃんと食ってな」
そうしてというのだ。
「行き倒れたりしない様にするさ」
「狩った獣の肉を干し肉とかにしてかい」
「そのやり方も知ってるしな」
干し肉の作り方もというのだ。
「大丈夫だよ、じゃあな」
「ああ、じゃあな」
「今からその婆さんをやっつけに行って来る」
こう言ってだった、ミクーラは実際に旅に出た。そうして旅の途中で狩りだけでなくロシアのあちこちにいる悪い魔物や精霊、山賊や悪人達を倒したり困っている人達を助けつつ旅をした。そうしてだった。
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