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彼女は狼少女
第五章

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「そうだったね」
「もう知ってますので」
 すみれの両親はというのだ。
「今日のことは」
「だからだね」
「はい、私が変身することも」
 勇気を部屋に入れたこともというのだ。
「ですから」
「心配なくだね」
「勇気君も。では」
「これからですね」
「変身します」
 こう言ってだ、すみれは自分から立ち上がってそのうえで窓のカーテンを開けた、勇気の目にも黄色い満月が窓の中に見えた。
 すみれの顔に瞬く間に白い毛が生えて耳のや口の形が変わってだ、遂には顔全体も変わりよく見れば服から出ている手もだ。
 毛深くなった、そして白いワーウルフになったが。
 そのすみれを見てだ、勇気は笑って言った。
「可愛いね」
「可愛いですか?」
「秋田犬みたいだよ」
 すみれのその顔を見て言うのだった。
「ハスキーかも知れないけれど」
「シベリアンハスキーですか」
「ハスキーって白い感じしないから」
 それでというのだ。
「秋田犬だってね」
「思われましたか」
「何か別にね」
 変身したすみれを見てもというのだ。
「何ともないよ」
「そうですか」
「しかも声はすみれちゃんのままで」
 見ればそうだった、顔の形が完全に狼勇気が言うには秋田犬になってもだ。
「物腰もそうだから」
「だからですか」
「別にね」
 狼少女になってもというのだ。
「何でもないよ」
「そうですか」
「しかも満月の光が消えたら」
「すぐに戻ります」
「そうだね、それじゃあね」
「別にいいですか」
「うん、個性のうちだよ」
 狼少女であることもというのだ。
「すみれちゃんのね」
「そうですか、では」
「うん、これからも宜しくね」
 彼氏としてだ、勇気はすみれに笑顔で言った。
「すみれちゃんがよかったら」
「こちらこそ」
 すみれは狼少女の顔のまま答えた、そしてだった。
 カーテンを閉めると元の顔に戻った、だがすみれはすみれのままだった。何も変わらない彼女がそこにいた。勇気はそのすみれと楽しく話して時間を過ごした。そしてこの日からも二人の交際を続けた。


彼女は狼少女   完


                  2019・5・13
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