第二章
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「だからな」
「今もそんな態度なの」
「俺は魔界でも働いてるんだよ」
「魔界でのお仕事何?」
「魔界の文部大臣兼憲兵総監 アガレス様の下で憲兵大尉だよ。ちなみに名前はフェリペ=カラスコっていうんだ」
「何かメジャーの選手みたいな名前ね」
「ちなみに応援しているメジャーのチームはメッツだからな」
ニューヨクメッツのファンだというのだ。
「シカゴカブスじゃねえぞ」
「山羊の呪いとは関係ないのね」
「ああ、あとヤンキースは嫌いだからな」
悪魔カラスコは何時の間にか頭にメッツの帽子を被っていた、そのうえでキャサリンにさらに言うのだった。
「お前がヤンキースファンだったら帰るからな」
「召喚されたのに?」
「まだ契約してないだろ、どうせ契約しても魂とか渡さないだろ」
「代わりの鶏肉を用意したわ、あとお金も」
「金な」
「お金払えば魂支払わなくていいのよね」
「それで何ドルだ」
悪魔は野球の話はまずは置いておいて金の話をした。
「一体な」
「千ドルよ」
「そうか、じゃあ千ドルの仕事すればいいんだな」
「ええ、お願いね」
「ったく、昔はパンの一個とかで魂貰えたのにな」
「現代は現代よ」
「それでアメリカだってんだな」
「アメリカ人がパン一個で魂あげると思う?」
キャサリンはまだ魔法陣の中にいるカラスコに尋ねた。
「そもそも」
「というか魂くれるアメリカ人なんているかよ」
「アメリカはお金よ」
「そうだよな、だからだよな」
「千ドル分働いてね」
「それでお前ヤンキースファンじゃねえよな」
悪魔はキャサリンにあらためてこのことを確認した、黄色い目がじろりと彼女を見てきた、そのうえでの言葉だった。
「そうだったら今回の話はなしだ」
「魔界に帰るのね」
「それで俺は魔界の仕事に戻る」
「憲兵大尉になのね」
「憲兵は軍人だからな」
悪魔は今度は自分の仕事の話をした。
「だからな」
「軍人さんは公務員だから」
「しかも士官だ、給料もいいからな」
「あんたみたいな怠け者でもなのね」
「不祥事を起こさないとな」
それならというのだ。
「仕事クビにならないからな」
「怠け者でもいいっていうのね」
「決まった時間に勤務して後は何もしなくてもな」
それでもというのだ。
「飯が食えるからな」
「あんた怠け者なのね」
「そうだよ、そんな俺を召喚するとかな」
「迷惑だっていうのね」
「だからヤンキースファンだったらな」
それを口実として、というのだ。
「今回の話はなしだ」
「あんた本当にやる気ないわね」
「見ての通りだよ、それでどうなんだ」
「私がヤンキースファンなのか」
「ああ、どうなんだよ」
「メッツだけれど」
キャサリンは事実を話した。
「私は」
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